8.ふたりのこと ページ8
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その日は、そのまま大倉くんに家まで送ってもらって。大倉くんは『ありがとうね』と一言残して帰った。その背中が、本当に痛々しくて、また私は胸が傷んだ。
一花ちゃんと、大倉くんのこと
結局わたしは何も出来なかったから。
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次の日学校に行くと、一花ちゃんと大倉くんは普通に話していた。
「一花ちゃん…！！」
一「A、昨日はごめんな。」
「ううん！全然！一花ちゃん、……」
"大倉くんと、仲直りしたの？"がどうしても
声に出せない。
大『……』
一「……」
1度割れた鏡は、治せたとしても二度と同じ形になる事は無いと、誰かが言っていたけど…本当にそうなのかな。本当にもう戻せない？同じ形に。
大『じゃあ予鈴なったし俺戻るな。一花これありがと。前借りてた体操着。』
一「あっ。うん、わたしも体操着返そうと思ってて。ありがとう忠義。」
ふたり永遠に返し忘れるはずだったような気さえしていた体操着が、目の前で本来の持ち主の元に戻る。
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自分の教室に戻る直前も、大倉くんは一花ちゃんを見てたけど、一花ちゃんは目線を合わせない様にしているのか、次の授業の用意をしてるフリしてた。
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その次の日も、そのまた次の日も…あの日の放課後からずっと、、わたしが大好きだったふたりの光景は
無くなった。
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ただ1つ確かなのは、
安『一花〜！おはよ！』
一「章大、おはよう！」
安田くんがよく一花ちゃんのクラスに来るようになったこと。一花ちゃんが安田くんといる時間が多くなったこと。もちろん大倉くんとも一緒にはいるけど、やっぱり前と全く一緒では無くて、
「大倉くんのこと…嫌い？」
思わず一花ちゃんにこう聞いてしまうほどに、
ふたりを見ていられなかった。
一「嫌いなわけないやん、どうしたん？(笑)」
「一花ちゃんと大倉くん…同じ顔してるから」
一「A……。ごめんな〜心配させて…。
でももう前みたいには無理やと思う。拗らせたわ(笑)」
大倉くんと同じこと言う…。
何とかしてあげられないのかな私には。
一「もしさ、忠義に恋人できるんなら私、Aがいいわ」
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作者名：∞くらゆい∞
| 作成日時：2021年8月29日 0時
