大倉くんのヒロインにはなれない。 (ページ48)

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48.ごめんね(s.y) ページ48

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11月30日、冬。

一花に呼び出された。

安『話って？』

一「忠義と別れる。」

安『……は…………？』

頭が真っ白になるというのは、こうゆうことか。

いつも物語は水面下で動いていて、気付くことはできない。人の気持ちなんて、1時間もあれば何色にも変わってしまう、ガラス細工のような繊細さだということを、同じ時間を過ごすうちに、〝当たり前〟が忘れさせてしまうから

人は願ってしまうんだ。
信じてしまうんだ。

永遠を。

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安『なにゆうてんの？』

一「Aの気持ち全く気づかんかった。今の今まで。ゆうちん先輩と付き合ってるけど、まだ好きなんやと思う…。それに…先輩も先輩で、Aの気持ち知ってそうやったし、」

安『大倉になんか言われたん？』

一「ううん。全く」

安『……』

一「ほんまに気づかんかった。こんなに近くにおったのに、私の話をどうゆう気持ちで今まで、聞いてたんやろ。自分が怖なったわ」

安『……そんなん、仕方ないやん』

一「え？」

安『もしかしてAちゃんの気持ちに気付いたから大倉と別れんの？』

そう聞くと、黙り込んだ一花。

安『ごめんやけど別れるとか困るで』

一「え、章大？」

安『なんのために一花と別れたんかわからんなるやん』

安『俺の気持ちはどうなんの？』

安『あの時一花を手放した俺の気持ちも、考えたことある？』

一「そ、それは、そうやけど……」

安『大倉への気持ちが、そんだけしかないなら最初から付き合うべきじゃない』

一「違うねん、忠義も多分Aが、」

安『大倉に聞いたん！？』

一「聞い……て、ない……。けど！」

安『別れるなら、聞いてからにしろや』

らしくないと言われたら、そうなんやと思う。

女の子にこんな言葉遣いするなんて。

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そのあと一花は大倉の元に行って。
直接、聞いてるとこを俺は見た。

一「忠義、Aのこと好き……？」

大倉は俯いてたから、あんまり見えへんかったけど、少しの沈黙の後、顔を上げて、一花を抱きしめて

大『俺は一花が好きやで』

と答えてた。

……答えてた。

涙を、1粒流して。