働け！！妖怪旅館【ハイキュー】

人魂13つ ページ14

皐月の第一巳日、ようやくほとんどの包帯が取れ、働ける日。

「どうだ？どこか痛むとこあるかー？」

「いえ、大丈夫です」

「ん、退院おめでとさん。

頭と足の包帯と、腕のギプスは外すけど、一応腕に包帯を巻いとくぞ。

その後に着替えて、お前の教育係はたしか桜依さんだったよな？」

「はい、桜依さんです」

「ん、じゃあ連絡しとくから多分後でむかえにきてくれると思う。」

「ありがとうございます」

「ん、じゃあ包帯とか外してくね」

それから足の包帯を外し、腕のギプスを器用に取っていく川西さん。

それから次は頭の包帯に移る。

今の私の顔は、ガーゼや包帯でほとんど顔が隠れている状態だ。


そもそも自分の顔なんて鏡で見ないからどんな顔をしてるかも分からないが。

「そんじゃ、今から頭の包帯とか取ってくけどどっかに引っかかったりしたらまずいし、痛み感じたらすぐ言ってね」


その言葉に頷くと川西さんは丁寧に包帯を外していく。

頬や鼻、耳に貼られていたガーゼが取れ、頭から片目にかけて巻かれていた包帯も無くなり視界が広がる。


「……おー……」

川西さんが小さくそう呟きほんのり頬を赤らめ、視線を逸らす。


が、すぐこちらに視線を戻し頭の包帯をとった後、腕に包帯を巻き立ち上がった。


「ん、これで大丈夫。

仕事着に着替えてきなよ」


それから川西さんに促され医務室のスクリーンの裏に促される。


「着物ここに置いといたから、着替え終わったら出てきてね」

そう言い、川西さんは立ち去ろうとしたが咄嗟に川西さんの袖を掴んでしまった。


「え、どうしたの？

腕痛む？」

「いえ、あの……着物の着方分かりません……。」


「……は？」


川西さんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔で愕然としていた。


「ニンゲンって今どき、着物も一人で着られないの？」

その後にそう呆れたような言葉がため息と共に出てきた。

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