海に出て愛される【ONE PIECE】 (ページ31)

今日:5 hit、昨日:70 hit、合計:253,608 hit

31 ページ31

「海賊船…初めて見た」

「あんまり驚かないんだな」

「マスター、元海賊だから」

「へぇ…元海賊、な」

ローは意味深に言葉を返し甲板の柵に体を軽く預ける。

「ところで話は変わるが、お前は俺たちに何を差し出す？」

「差し出す…？どういう」

「そのままの意味だ。

俺たちは海賊だ。善意で人助けなんてそんなお人好しな連中に見えるか？

それに俺はタダで乗せてやるなんて一言も言ってない」

「なっ…

さすがに卑怯じゃない！？」

「どうとでも言えばいい。

が、警戒を怠りノコノコとついてきたのはお前だ。

少しは用心するべきだったな」

今まで仏頂面だった男はその時初めて笑った。

背筋が凍るような不気味な笑みであった。

「キャプテ〜ン！

飯の準備ができました！」

そんなピリついた空気を割くような気の抜けた声が奥から聞こえる。

「って取り込み中？」

「……いや、いい」

気を削がれたのかローは深くため息をついてクルーの後を追う。

「Aは来ないのか？」

「脅しておいてよくそんなことを」

「そう怒んな。

いい刺激になっただろ」

ローはニヤリと笑ってまた先へ行ってしまった。

× × ×

場所が変わって今は潜水艦、ポーラータング号のダイニングのような場所へ案内される。

テーブルの上には豪華な大皿が隙間なく置かれていた。

「いやーキャプテンが他のやつを船に乗せるなんて、しかもこんな美人な女ときた！」

「華やかでテンション上がるよな！」

「で、キャプテンとはどんな関係で？」

席に座るなりそんな浮いた質問が次々飛んでくる。

先程まで上機嫌であったローはすっかり黙り込んでいた。