第4章 ページ5
夏休み目前の、憂鬱な1週間も思い出してみればあっという間に過ぎて行き、気がついたら夏休みに入っていた。
「あーあ、やっちゃった…」
学校に忘れ物は絶対していないと思っていたのだが、すっかり、授業で終わらなかった絵を完成させる、という美術の宿題を忘れていた。
致し方ない、学校に取りに行こうと決意し、学校の制服を身につける。
この時ばかりは、高校が近所で良かったと思えた。今まで、帰り際に何処かに寄って帰る友人達を羨んできたものだから。
高校の側まで行くと、テニスコートから掛け声が響いてきた。こんな暑い中でも、懸命に走り続けるテニス部の人、運動部の人たちは凄いと思う。
美術室の前に立ち、扉に手を伸ばそうとした所でハッとした。そういえば、美術部は夏休み中活動が少ないし、今は中から声がしないということは誰もいない。つまり、美術室は鍵がかかっているはずだ。
仕方ない、これで開かなかったら取りに行こうと、一か八かで扉に手をかけて引っ張ると、がらりと勢い良く開いた。
「きゃっ！」
扉に体を預けて大袈裟に開けた為か、バランスを崩した。
「危ないわね…」
危うくデッサン用のオブジェにぶつかる、という間一髪のところで体を持ち直した。
室内は真夏の日差しが当たっているので、とても熱かった。早く絵を持って帰ろうと思い、広い美術室に、足を忍ばせた。
すると、1人の男子生徒が、私が取りに行こうとする皆の絵が立て掛けてあったイーゼル置き場の所に座っていた。
人がいたということにも驚いたし、なによりも先程のバランスを崩した所まで聞かれていたらどうしよう…と思いながら、なるべく音を立てないように静かに足を進める。
何やらその男子生徒は、懸命に絵を描いていた。
とても集中しているようで、背後1メートル内に立つ私の気配には全く動じず、描き続けている。
集中しているのを、邪魔する訳にもいかないので、そっと自分の絵がある方へ足を進めると、その男子生徒の視界に私が入ったようで、その男子生徒が突如大きな声を上げた。
「っうわっ！！？？？」
その声に私自身も驚いてしまった。
「ヒッ…」
先程まで見えていなかった男子生徒の顔の方に振り返った。
「あ、あれ…この間の…？」
前髪を右側に流してピンで留めていて、大きく見開かれたくりんとした大きな目。
すっと通った鼻筋。白い肌____。
まるでいつか遊んだお人形の王子様みたいだった。
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しずく@眠たがり(プロフ) - もう更新はされないのかな…？ (2019年2月7日 11時) (
レス) id: 2e94dfd782 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - 男主のトト子ちゃんのやつ、少ないから嬉しいです！めっちゃ面白いですね！！ (2017年10月10日 16時) (レス) id: 329393c0db (このIDを非表示/違反報告)
トト子ちゃんは天使 - トト子ちゃんの小説あまりにも無いのでこのような作品があり嬉しいです！！orz ありがとうございます更新楽しみにしております(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年2月3日 11時) (レス) id: 5025687234 (このIDを非表示/違反報告)
れおん。(プロフ) - 個人的には、六つ子のかで、一番好きです！（笑） だから、このような作品を作ってくださり、ありがとうございます！！ 自分自身も、書いているのですか、まったく続かず。その文才を是非わたしに！(^◇^;) 更新、頑張ってください！ すーっごく、応援してます！ (2016年2月3日 7時) (レス) id: 36f06c9cc6 (このIDを非表示/違反報告)
異脳 - トト子ちゃん可愛いですね！更新頑張ってください！ (2016年2月1日 23時) (レス) id: 6b1eec1aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜風 金魚 | 作成日時：2016年1月26日 21時
