第2章 ページ3
あ、あの人だ。多分。
家に帰って先程の話を思い出していると、ふと先日、トド松くんが言っていたような人に出会ったことを思い出した。
とは言ってもすれ違っただけでよく見ていなかったけど、長い前髪と華奢な体をしていたということは覚えている。
確かに普通に見たら気味悪いような容姿だったかも。でも案外ああいう人って中身が人の倍に優しかったりするものなのよ。
それとは反対に、容姿が完璧な人っていうのは自信に満ち溢れているから、性格がひん曲がっていく人が多いのではないかしら。
完璧な人なんて、いない。
「うん…きっと良い人よ」
言い聞かせるように呟いた独り言は、シンとした部屋に消えていく。
次の日、偶然にも程があるというように久しぶりに図書室に向かった私は唖然とした。
昼休みだというのに、ほとんど人がいない。
いるとしたらカウンターに座る委員会の人と…あともう一人。多分、あの人。
花江 A____。
図書室というのはこんなに人気のない場所だったかと寂しく思う。まるで音を立ててはいけない空間にいるかのように、私は忍び足で目的の本がある棚へ向かった。
よかった、まだあった。
ファンタジーの物語。一時期ベストセラーになる程の流行りを巻き起こした小説だが、私は一度も読んだことなかったのだ。
厚い本を手に取ってパラパラとページを捲る。
黄ばんではいるけれど、前から読んでみたかったのだ。
少し埃の被った表紙を手で叩く。
普通なら新しく新調されていてもおかしくないくらい、読み古されている。
ちょっと、汚いかもなあと思った。
本屋に行って自分で買うのもいいかも。どうせなら綺麗な方が読んでいて気持ちが良い。
そう思って棚に戻そうと思った時。突如、背後に気配を感じて慌てて振り返った。
「っあ、えっと…」
その人は、突然振り返った私に少し驚いて後ずさった。噂の、花江A、くん。
「…なにか…？」
長い前髪から少し覗く瞳に吸い込まれてしまいそうなほど、見つめる。
Aくんは、すっと私の前に一冊の本を差し出した。
「そう、これ。」
差し出されたのは、私が読もうとしていたあの本だ。しかも、新調されたもの。
「これ…」
「読みたそうにしてたから。それ、黄ばんでて汚いから戻したのかと思ったんだけど…違ったら、ごめんね」
そう言って引っ込めようとしたAくんの持っている本を、慌てて掴む。
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しずく@眠たがり(プロフ) - もう更新はされないのかな…？ (2019年2月7日 11時) (
レス) id: 2e94dfd782 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - 男主のトト子ちゃんのやつ、少ないから嬉しいです！めっちゃ面白いですね！！ (2017年10月10日 16時) (レス) id: 329393c0db (このIDを非表示/違反報告)
トト子ちゃんは天使 - トト子ちゃんの小説あまりにも無いのでこのような作品があり嬉しいです！！orz ありがとうございます更新楽しみにしております(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年2月3日 11時) (レス) id: 5025687234 (このIDを非表示/違反報告)
れおん。(プロフ) - 個人的には、六つ子のかで、一番好きです！（笑） だから、このような作品を作ってくださり、ありがとうございます！！ 自分自身も、書いているのですか、まったく続かず。その文才を是非わたしに！(^◇^;) 更新、頑張ってください！ すーっごく、応援してます！ (2016年2月3日 7時) (レス) id: 36f06c9cc6 (このIDを非表示/違反報告)
異脳 - トト子ちゃん可愛いですね！更新頑張ってください！ (2016年2月1日 23時) (レス) id: 6b1eec1aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜風 金魚 | 作成日時：2016年1月26日 21時
