第15章 ページ16
待ちに待った、水曜日。
赤塚駅には、予定より15分程早く着いた。待ち合わせである銅像の前には、既に私服のAくんの姿があった。
「お、おはようAくん！」
そう言いながら、慣れないヒールも着慣れないワンピースも気にしないくらいに、Aくんの元へ走った。
Aくんはそんな私に気がついて、「おはよう」と面白そうに笑ってくれた。
「ちょっと早いけど、もう行こうか」
「う、うん！そうね！」
Aくんの隣に寄り添うようにして近づくと、まるでカップルのように見えるのではないかと思った。
「うわぁ！可愛い〜」
水族館で、まるで女の子のような反応をするAくんが子供っぽくて、可愛かった。私は、この魚食べたら美味しそうとかそういう事を考えてしまうから、その可愛さを分けて欲しいくらい。
「ねえみて弱井さん！イルカ！」
指差して楽しそうに言うAくん。
見てみると水槽からイルカが覗いている。
「可愛い！！！」
「だよねー！！」
Aくんは、そう言いながら携帯のカメラで連写し続けた。その他にも魚やら白熊やら、色々な物を撮っていた。まるで女子の友達と来ているようだと思ってしまったくらいだった。
高校生の男女でこんなにきゃぴきゃぴしていて周りから可笑しく思われていたかもしれない。でも私にとってはその時間が、かけがえのないAくんとの大切な思い出となった。
「今日はありがとうね、弱井さん」
水族館で色々な魚や動物を見て、気がついたら空はオレンジ色に染まりかけていた。
水族館の外野にある渡り廊下から見える海に空が映されて、なんとも言えない美しさを放っている。
「すっごく、楽しかったわ」
「ならよかった」
「また、来たい____」
思っていたことがぽろりと零れた言葉。
そう言った私に、前を歩いていたAくんが顔だけ振り返る。
海に反射されたオレンジ色の夕陽がAくんの頬と目をオレンジ色にする。
その顔が、綺麗だと思ったのと同時に、何だか切ないと思ったのは、Aくんの表情がそう見えたから。
もしかしてもう来たくないとか。
「あ、あの別に無理には」
そう言いだした私の言葉を遮るようにAくんが言った。
「うん、また、きっと来よう」
そう言って笑うAくんの笑顔が今までで一番綺麗だった。
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しずく@眠たがり(プロフ) - もう更新はされないのかな…？ (2019年2月7日 11時) (
レス) id: 2e94dfd782 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - 男主のトト子ちゃんのやつ、少ないから嬉しいです！めっちゃ面白いですね！！ (2017年10月10日 16時) (レス) id: 329393c0db (このIDを非表示/違反報告)
トト子ちゃんは天使 - トト子ちゃんの小説あまりにも無いのでこのような作品があり嬉しいです！！orz ありがとうございます更新楽しみにしております(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年2月3日 11時) (レス) id: 5025687234 (このIDを非表示/違反報告)
れおん。(プロフ) - 個人的には、六つ子のかで、一番好きです！（笑） だから、このような作品を作ってくださり、ありがとうございます！！ 自分自身も、書いているのですか、まったく続かず。その文才を是非わたしに！(^◇^;) 更新、頑張ってください！ すーっごく、応援してます！ (2016年2月3日 7時) (レス) id: 36f06c9cc6 (このIDを非表示/違反報告)
異脳 - トト子ちゃん可愛いですね！更新頑張ってください！ (2016年2月1日 23時) (レス) id: 6b1eec1aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜風 金魚 | 作成日時：2016年1月26日 21時
