- 子犬とストーカーさん / うらたぬき-

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｢それで、貴方の名前は ?｣


｢浦田だよ｣


｢下の名前は ?｣


｢こうして普通にしてくれてても、信用はしてないんだ｣


'警察に言われたらたまったもんじゃないし'と、意外と用心深いみたい。

とはいえ、窓から外の景色は丸見えだし 生活感のある部屋に放置されていたのだから

バレて捕まるのは計算のうちなんだろうけど。


｢君は相川さんでしょ。相川Aさん｣


｢本当にストーカーなんですね、家は知ってますか ?｣


｢うん、ここから近いと思うよ。学校からも近いし｣


｢じゃあ、兄がいることは ?｣


｢ああ...うん、君のお兄さんは 君のこと大好きだからそこが心配かな｣


本当に知っていて少し感心する。どうやって知ったのかは不明だけれど


｢私は家に帰れる ?｣


｢誰にも言わないなら帰してもいいけど...｣


｢けど.. ?｣


語尾を濁した彼は なんだか少し言いにくそうにしている


｢また、来てよ｣


へらっと悲しそうに笑った彼は よく見ると綺麗な顔をしていて

ますます現実味がないと感じる。

私を好きなストーカーがいて、私を攫って それからそのストーカーは俗にいうイケメンで...なんて、夢の話みたい

これが夢オチだったなんて話ありそうだけど それでもこの素敵な時間は 忘れられない


｢貴方が望めばまた来てあげます｣


この日から私と浦田の曖昧な関係が始まった___

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