trto 記憶(1) ページ11
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今日は同窓会。
年齢=独り身という寂しい肩書きがあるため,休日は大抵暇だ。嬉しい限りである。
でも,そんな私も人を好きになったことはある。
(好き……というか憧れかな)
「A!!おひさー」
元気に挨拶を交わしてくれたのは,高校の時の友達,陽菜(ハルナ)である。
「久しぶり,陽菜」
二人で他愛ない会話をしていた。
「私ね,結婚するんだ」
そう言い,幸せの証……婚約指輪をキラリと光らせる。
「式するとき,ちゃんとAのこと呼ぶからね」
幸せそうに微笑む陽菜。
…正直羨ましい。
「いいなぁ……相手はどんな人?」
「もう来るよ」
「陽菜!」
「あ,あの人だよ」
一瞬目を疑った。
中学校まで一緒だった幼馴染み……
チオ君だった。
「タッチン,この子はね……」
「チオく……」
「初めましてAさん,家の陽菜がお世話になってます」
この一言で私は唖然とした。
「覚えて……ない,の?」
「?……どこかで会いました??」
「私たち,中学まで一緒だったじゃん!!Aだよ,チオくん!!」
「……ごめんなさい,分かんないです」
「A……?」
「チオくんとは,幼馴染みで……バレンタインのお返しのとき,私だけ小瓶に入ってる飴とかグミとかで……」
「Aさん?」
「放課後よく遊んでて,高校は帰国するって離れちゃったけど……」
「えっと……」
「……酷い,酷いよ」
グスグス泣いてる私を見て,きっと困っていると思う。
「でも,なんでか知ってるような……」
「Aこっち,タッチンちょっと待ってて」
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「なんかさ,おかしくない?」
「どうして……」
クツクツとどこからか聞こえる笑い声。
……?
「あはははははっばっかみたい!!」
「Aが,タッチンと幼馴染みだったんだね」
「陽菜……?」
急すぎて頭が追い付かない。
「仕方ないじゃない。タッチン,口を開けば幼馴染みが,幼馴染みがって……」
「陽菜,何を言ってるの?」
「記憶がないのは私のせいじゃない?」
「交通事故に見せた……完璧な犯罪……」
「記憶ないんだもの。こんな好都合ある?って思ってさぁ……」
『私がタッチンの“幼馴染み”だよ,陽菜だよ,覚えてる?』
「なんて言ったらさ,ぎゅって抱きしめて,会いたかったよ,“陽菜”って…」
「幼馴染みが2人もいるってなると,困るんだよねぇ……」
「…っ!!」
「だからさ,Aも記憶喪失になって?」
勢いよく向けられる凶器を見て,ぎゅっと目をつむった。
続きます(多分)
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- 恋愛運: ★★★☆☆
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今日の実況者
とりっぴぃ
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苺飴。 - 音さん» 貴重なご感想ありがとうございます!更新が不定期で申し訳ないです……。できるだけ間を開けないように更新するように努めます!ありがとうございました。 (2018年2月24日 22時) (レス) id: 61f445cd36 (このIDを非表示/違反報告)
音(プロフ) - こんばんは、いつも拝見させていただいています。苺飴。さんの2さんと7さんめちゃくちゃ好きです。これからも応援してます...! (2018年2月24日 21時) (レス) id: ae71442de0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺飴。 | 作成日時:2017年11月22日 23時