視線 ページ43
桐山照史side
部屋に入った途端、時間が止まってるんとちゃうかと思った。
青ざめている皆の視線を集めている濱ちゃん。
そんな濱ちゃんが目に入ってないのは、ぐったりしとるAを見つめる神ちゃんだけ。
その状況を見て、あかんって思った。
前に居た病院の時の濱ちゃんが頭に浮かぶ。
濱ちゃんは人が苦手なんやない。人の目が、視線があかんねん。
コップをAの手前に置いて、俺は慌てて濱ちゃんに駆け寄った。
照「濱ちゃん！」
俺の声で顔を上げた濱ちゃんは皆が自分を見ている事に気が付いた。
その瞬間、濱ちゃんの顔が一気に青ざめるのが分かった。
濱「え、あ…その…。」
急にキョロキョロそわそわし始める。
その慌て方はほんまに異常で、喘息並みに息も荒くなっていく。
皆に怯えているのが、嫌でも分かる。
重も流星もそんな濱ちゃんにどうしたらええのか分からず、オドオドする。
望はずっとオドオドしぱなし。
俺と淳太くんが濱ちゃんに声をかけても、本人には俺たちの声は届かん。
あ「おすわり。」
ザッ
気付けば、俺の視線が一気に低くなる。
慌てて周りを見渡すと、俺と同じ様にしゃがむ皆が見えた。
そして、さっき俺が持ってきたコップの水を飲み干したAがおぼつかない足取りで濱ちゃんへと歩み寄る。
濱「あ、あの…えっと…。」
しゃがんでいても、変わらず挙動不審の濱ちゃんはこのまま白目むいて気絶してまう勢いやった。
あ「濱ちゃん、こっち。」
膝をついて濱ちゃんと目線を合わせると、うつむき気味な顔をくいっと両手で上げた。
視界にAを捉えた途端、自然と涙を溢す濱ちゃん。
濱「…A。俺、あの…。」
あ「何も言わなくていいよ、濱ちゃん。」
両手で濱ちゃんの顔を包みこむようにして、濱ちゃんの涙をそっと親指で拭う。
あ「…ごめん、怖かったでしょ？偉かったね。」
Aの言葉に首を横に振る濱ちゃん。
濱「俺…全然…できてへん。」
ううん、頑張ったねとか言うかと思ったのに、Aはそっかって悲しく微笑んで、頭を撫でるだけやった。
あ「部屋に戻れる？」
こくんと頷く濱ちゃん。その姿は完全にAにすがる子犬やった。
頭を撫で続けて微笑むAは、とてもさっきまでふらついてた酔っ払いには見えへん。
濱ちゃんが部屋を出ていくと、Aは側にいる流星に視線を向けた。
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紅実(プロフ) - はじめまして。あかねです。今日初めて、このお話を拝見しました!!お話書くのが上手すぎて、一気に読み進めちゃいました!!続きも読ませていただきます！ (2017年8月19日 11時) (
レス) id: e7ccfa4648 (このIDを非表示/違反報告)
ともえもん(プロフ) - まるぴんさん» コメントありがとうございます！そうですね笑 私もあの作品大好きです。頑張らせて頂きます！ (2017年5月21日 9時) (レス) id: 248b2f99ac (このIDを非表示/違反報告)
まるぴん - ともえもんさん» おすわりーで、犬○叉かと思いました(笑)この話大好きです！更新頑張ってください! (2017年5月17日 16時) (レス) id: 34287fdb03 (このIDを非表示/違反報告)
ともえもん(プロフ) - あしゅさん» ありがとうございます！誠心誠意書きます！(￣^￣)ゞ (2017年3月24日 9時) (レス) id: 248b2f99ac (このIDを非表示/違反報告)
あしゅ(プロフ) - こういうお話、すっごく好きです！ｏ(･д´･ )ゞ応援してﾏｯｽ♪ (2017年3月23日 20時) (レス) id: 78d0121fe2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ともえもん | 作成日時：2017年3月6日 18時
