ケモノなWESTにご注意を【3】 (ページ5)

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このままページ5

貴方side

おかしいと思ってた。

患者さんの病気がどんな感じなのかなんて、病院側が口外する訳ないのに、どうしていい方向に進んでるとか知ってるんだろうって、そんな事を呑気に考えてた。

「貴方、患者全員に手を出しているでしょ？」

淳太くんのお母さんが言った言葉が、その意味が、自分の中で理解が追いつかなかった。

どんどんと流れるように続くお母さんの言葉が耳をただ通り過ぎるみたいに、会話が頭に入らなかった。

そして、いきなり目の前に広がる私と皆の写真に、胸が痛いくらいドキッと弾んだ。

変な気分だった。

だってこっちの意見を言う前に証拠出してはい論破って突き出されたみたい。

不思議と驚いたりショックを受けたりすると、思考が停止して何も考えられなくなる。

だから私はただただ黙って、お母さんの言葉を受け止めることしか出来なかった。

そんな事考えたことなかった…周りからどう見えるかなんて考えながら接してなかった。

写真に写ってる皆は私だけを見て微笑んでて、確かにこんなの2人の世界みたいに見えるよ。
私、何も分かってなかった…。

この前ちゃんと向き合うって決めたのに、こんなに無責任な行動してたなんて…。

淳「…ふざけんな。」

あ「！？淳太くん！？」

聞いたことのない低い声に思わず淳太くんの横顔を見ると、鋭い目付きでお母さんを睨んでいる淳太くん。

私、自分の事ばっかで淳太くんの様子に気を付けてなかったとか、そんな反省が浮かんだ頃にはもう遅くて、淳太くんはテーブルの上から写真を勢いよくはらい落とした。

淳「なんも知らへん癖に、適当な言いがかり付けて、俺から居場所を奪うつもりなん！？」

淳太くんは震える手を押さえつけて、お母さんを睨む。

淳「俺の事なら好きに言えばええ。やけど、Aはちゃう。俺だけやない、ここにいる皆の唯一の救いなんや。」

お母さんはピクッと反応するだけで顔色１つ変えなかった。

「貴方がなんと言おうと、ここにとどめさせておく訳にはいかない。」

そう言いきったお母さんは、淳太くんからゆっくりと私に視線を動かした。

「何も反論出来ないでしょ？」

きっと私が反論してもまた色んな事実を私に突きつけて、全部跳ね返すんだろうとその目が強く語っていた。

あ「…。」

どうしたらいいんだろう？

このままじゃ、淳太くんは本当に行ってしまう。