Primrose-乙女の愛- (ページ4)

今日:8 hit、昨日:7 hit、合計:149,060 hit

1輪ページ4

HIROside

2000年某日

それは、あまりにも突然の悲報だった

HI「……は?それどういう事ですか!?………はい、すぐ行きます」

信じられなかった。いや、信じたくなかった

姉さんと義兄さんがこの世からいなくなったなんて………

移動中の車内で、遺されたAの事が頭をよぎった

『ひーくん!わたしもひーくんみたいにおどりたい!』

『みてみて!すこしだけおどれるようになったよ!』

会えばいつも笑顔で明るいかったAが…

病院に着き、案内された部屋に姉さん達は眠っていた

警察の話では、高速道路で起きた事故に巻き込まれ、二人とも全身を強く打ち、病院に運ばれたが手遅れだったらしい

「HIROさん」

HI「古田さん、あのAは大丈夫ですか?」

古田理子さん、Aのマネージャーで姉さんの後輩

Aは、出演しているドラマの撮影が終わり、姉さんと連絡を取ろうとしていたら、俺と同じように連絡があったらしい

古「……隣の部屋で休んでいます」

悲痛な面持ちでそう答え、事務所に連絡してくるとその場を去った

ｺﾝｺﾝ

HI「A?入るよ」

部屋に入り、椅子に腰掛けたまま空(くう)を見つめるAがいた

HI「…A」

俺が部屋に入っても反応を示さなかったが、Aの前に膝をつき目線を合わせ、呼び掛けると漸く

『………ひーくん?』

弱々しい声で俺の名前を呼び、顔を向けた

HI「っ!!」

いつも見せていた笑顔はなく、無表情で虚ろな瞳をしてい

『ひーくん、お父さんとお母さんずっと寝てて起きないの。何回も呼んでるのに起きてくれないの。

朝、いってきますした時お母さんあったかったのに、さっきはすごく冷たかったの。

どうしたら、お父さんとお母さん起きてくれる?もっとお仕事頑張ったら起きてくれる?』

悲しいのに辛いのに泣かない、泣けないAを抱き締めた

『ひーくん?…私ね、本当は分かってるんだぁ。お父さん達はもう起きないって、バイバイなんだって』

HI「A、泣いていいんだ。悲しかったら辛かったら泣いていいんだ。我慢しなくてもいいんだよ」

抱き締める力を強めた

『………っお父さんもお母さんもいなくなっちゃったぁ

ﾋｯｸ

ひとりぼっちになっちゃったぁ

っぅわぁぁぁあああんっ』

俺の服を強く握り締めながら泣くAをただただ抱き締めた