6.三毛 ページ6
『あれ』
「にゃー」
豆の配達帰り。喉が渇いたから寄り道をと思い公園で缶コーヒー片手に考えごとの最中だった。
『こんにちは。』
「にゃー」
足元には三色の猫。
よく来る公園だが、三毛猫は中々見かけない。毛並みもさほど悪くないし、首輪も付けているようだ。
『迷子？いや、迷い猫？』
「にゃー」
律儀に返事をするあたり、きっと賢い猫なんだろう。飼い猫ならなおさら。
『可愛いね』
「にゃ」
『今ね。今日の夜ご飯に悩んでるの』
「にゃー」
『私は今とてつもなくラーメンが食べたいんだけど、家に無くてね』
「にゃ」
『家にあるのは胡麻豆腐と納豆と朝の残りのほうれん草のおひたし。もうちょっと何か欲しいんだよね』
「にゃー」
『うーん、せめて肉か魚が食べたい。』
「にゃっ」
『おっ、君もイケる口かい？肉だよなあやっぱ』
「にゃーー」
『ん？これはコーヒー。飲みたい？』
「にゃー」
『あーげなーい。私のだもんねー』
「にゃっ、にゃっにゃー」
『ごめんって。…触っていい？』
「にゃー」
そっと手を伸ばすと擦り寄ってくる。とても愛らしい。ぐるぐると鳴る喉が感触として伝わってくる。
『三毛猫…ミケ…よし。君は今からミケランジェロだ。いいね。ミケランジェロ』
きょとんとした顔でこっちを見る。元々の名前が違うから反応できないのか、名前が嫌なのか。
ちょっと間抜けな顔のその子の背中をできる限りの全力を尽くして優しく撫でる。
『ミケランジェロ、君は女の子かい？』
三毛が雄の確率は三千分の一だとか三万分の一だとかで希少価値が高いと小説で読んだ。
つまりこの子は雌の可能性が高いということ。
人馴れしてるのか簡単に抱き上げることが出来た。柔らかくみょんと伸びていく猫の体はやはり魅力的だ。
猫だからこそ直視できるその股に目を向ける。
『えっ、うっそ、まじ？』
「にゃー」
『てことはミケランジェロは…えーっと…0.003%？いや、0.00003%の猫様か』
「にゃ」
猫様の常に上がっている口の端がもっと上がっているような気がした。
『超希少な猫様は君かい。こんなふにゃふにゃした体しやがって、おら、こうしてやる』
「にゃーー」
お腹をわしわししてやると尻尾はくねくね曲がりながら左右にじたばたと動く。
『可愛いなあミケランジェロ』
公園に遊びに来ていた小学生たちに怪しい目で見られていたとは知らないまま、ミケランジェロとの会話は暫く続いた。
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京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (
レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» ：−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京風ラーメン | 作成日時：2020年1月11日 2時
