【名探偵コナン】お得意様の喫茶店【安室透】

28.5.標的 ページ35

「これがその書類ですか？」

「ええ。」


少し厚めの茶封筒。この中に最近組織を探っている人間の情報が入っているらしい。


「今ここで見ても？」

「構わないわ」


開けてみると数枚の紙。紙に書かれた情報によると、どうやらひとりの女性が黒の組織が関わった事件を調べているとのこと。


「なるほど…名前と写真は…」


ペラ、と紙をめくった瞬間固まった。






________Aさん。どうしてこの組織を。






「ターゲットは女性。貴女がやるべきことは彼女を組織に害のない者か調べること。…ここまで言えば分かるわよね？」

「…ええ。彼女から情報を引き出せば良いんですね」

「手段は問わないわ。彼女がもし害のあるようだったら…」

「始末しろ、と。」

「そう」




もう一度書類に目を通す。何度見てもそこに写っている写真は彼女本人だ。

この工場の場所を密かに教えてきた彼女、今回の件を探り回ってバレたのだろうか。であれば自分と彼女の間に何か繋がりがあると疑われる可能性もある。


しかし彼女はウォッカ、と発言していた。あの時ウォッカと電話していたのか？それともウォッカと話してるように聞こえさせたかったのか？
それにウォッカだけでない。ジンくん、と。ジンのことを親しみを込めて呼ぶ女性は初めてだ。

しかしぱっと見の彼女は人畜無害。一般市民。
実際に彼女も黒の組織側の人間ではなく、こちら側の人間だろう。


今回も始末しろとの命令でないためうまく誤魔化せれば彼女を救うことも可能だ。
その為には彼女が黒の組織を探っていない証拠を捏造し、彼女にも辻褄合わせをしてもらう必要がある。






彼女が黒の組織を探っているのには理由があるのか
…あるいは、彼女自身が黒の組織の一員であり、今回の依頼で組織が自分を試す為の嘘の書類であるのか。





やはり今回の工場の件といい、彼女には何かある。

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