19.5.盗聴 ページ23
『Who are you』
イヤホンから聞こえたその声にぞくっとした。まさか彼女にバレているのかもしれない。いや、バレているのだろう。
その間延びした声は確実に「貴方はだれ?」と聞いている。
お菓子の包装に付けた盗聴器。まさか彼女は存在に気付きながら壊さずにいるのか?
『I know』
また間延びした声。「私は知っている」?一体何を彼女は知っているというんだ。
『ウォッカ君。私も一発当ててみたいな。ほら、あの、ね?黄金色の紙がさ…』
「ウォッカ、」
ウォッカ。やはり彼女は黒の組織に関わっている。
そして、黄金色の紙…一万円のことだろう。
一発当てるとは?一体何をするつもりだ?
『うんうん、そうだよ。いいよなあ、彼らは、あの爺さんからもらったあれでさ…そう、そう私も君のとこに行きたいね』
爺さんからもらったあれとは。君のとこに行きたい。つまりウォッカのところへ行きたいということ。今のウォッカの請け負っている案件は何だっただろうか。
『あの工場って、凄いじゃん?やっぱりこう、見た目っていうの?こう、一番最初のドア開くところの歌とか。』
「そうか…工場」
ウォッカの取引先のことだろうか?
しかし、少なくとも今稼働中の工場の中でドアが開いたときに音のなるものはなかったが。
『中で作ってるもんも凄いしさ、見た目にもこだわってんじゃん?』
中で作ってるものが凄い。見た目もこだわっている。やはり裏取引だろう。先ほどの黄金色の紙、ということから推測するに…偽札。偽札工場ということだ。しかし、それがどこにあるのか。
『いいなあ、私も行きたいなあ。』
『ダメ?なんでさ。いいじゃないの。』
『はー?ウォッカ君。頭固いねえ。』
『ほら、あれってさ、小さい子供いるじゃん。』
「小さい、子供?」
頭をよぎったのはコナン君
『あーそうそう。小さいけど、子供っていうか、まあ、いいよね。欲しいんだ。』
『無理?ダメ?』
その言葉のすぐあとにぐしゃぐしゃと音がして、音が何も聞こえなくなった。
盗聴器を壊された。
「どういうことだ?」
わざわざ、盗聴器に気付いておきながら、奴らの情報を流して。まさか、彼女。
「彼女も、俺とおなじ…」
いや、そう判断するにはまだ早い。コナン君までもが危険な目に遭いかけている。必ず、俺が止めなければ。
Who are you、そしてI know。これが意味のないただの間延びしただけの言葉で、ウォッカがウォンカだということに彼は気付かない
648人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» :−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京風ラーメン | 作成日時:2020年1月11日 2時