18.菓子 ページ21
『いらっしゃい。本当に来たんですね。』
「ええ。やっと暇ができたので。」
『そこまでして来るものじゃないでしょうに。』
昨日はコナン君。今日は安室さん。となると明日は毛利さんでも来るだろうか?
『で?何の用です?豆を買いに来たんですか?』
「もちろんそれもですし、以前食べ損ねたクッキーを食べたくて。」
『ああ、そうですか。ではおいくつ包みましょうか?』
「2つほど。」
『分かりました。豆は?』
「ポアロと同じものを。」
『以上で?』
「ええ。」
コイツ、暇な日にわざわざ取引先に来るなんてすごい精神を持っているようだ。少なくとも私は嫌だ。とはいえポアロは別だが。
『はい。ご注文のお品物です。』
「ありがとうございます。」
にこりと笑う彼の顔はいつもと違う。いつものパーフェクトヒューマンな笑顔というよりも何かを探る、そう、コナン君と同じような。
『まだ何か?』
「いえ…ここは一人で?」
『いえ、休日は何人かはバイトを雇っていますが。』
「なるほど…」
何がなるほどだ。用がないなら帰ってほしい。確かに客は滅多に来ないがそれでもここに居座られるのが嫌だ。珈琲を飲むわけでもないなら早く豆を持って帰ってくれ、と心中で何度も彼を恨む。
『で?』
「いえ…少し、ね。」
『はあ。』
やっぱり彼は得意じゃない。苦手だ。はっきりしない態度に疑い探る目が気持ち悪い。聞きたいことがあるならはっきり言ってほしいのだ。
「…Aさんには、友人っていらっしゃるんですか?」
『はぁ、それなりには。友人というより仲間というのが正しいですけど。』
ここら一体のおっちゃん達は麻雀仲間だ。友達というのはなんか違和感があるけれど仲間という言葉がしっくりくる。
「仲間、ですか?」
『ええ。まあ良い人とは言えませんけど、楽しい人達でして。』
「どんな人なんです?」
『え?聞いてどうするんです?さほど面白いことありませんけど?』
「確かに…それもそうですね。すみません。探偵として探ってしまうんですよ。どんなことでもね。」
『探偵ってめんどくさそうな思考してそうですね。まあ、私は別に変な人間でもありませんから。』
探偵の中でも毛利さんは別格だ。探偵らしくないからね。ああいうタイプか好きだよ。私は。
『で、あとはもう大丈夫ですか?』
「ああ…はい。すみません。」
『いえ。豆、大切にしてくださいね。』
「ありがとうございます。」
647人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» :−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京風ラーメン | 作成日時:2020年1月11日 2時