16.店番 ページ19
「こんにちは。」
『こんにちは。こんなところでどうしたんです?』
「いえ、敵情視察、というものですよ。」
『ああ、なるほど。」
場所はポアロでない喫茶店。
Cafe「RICE FLOWER」。次期店長のウェイターがブロガーとして有名な店だ。
「Aさんは、豆を届けに?」
『いえ、逆です。以前、豆を買いたいとなんとなく仄めかされたままだったのできっぱり断りに。』
「断るって、なぜです?」
『私、金になれば誰にでも売るって考え嫌いでしてね。』
「はぁ、詳しく聞きたいところですね」
このカフェについての愚痴はいくらでも言えるだろう。けれど、それを彼に話すことはあまり良くないような気がする。
『愚痴を聞いてもらうのも悪くないですが、本人がいる前では流石に、ね。』
「では場所を変えましょうか?」
『いえ、仕事もありますし…』
「では、夜は?」
『いやあ…それが…』
ヴーヴーと、小さい振動音。
私の携帯だ。仕事中だから、とバイブレーションにしている。
「どうぞ。」
『すみません、失礼。……はい…あー、大丈夫。うん……はい…え?…だから扱いには気を付けてって…うん、分かった…はいはい。なに?分かったよ、ジンくん……了解』
プツリと電話が切れる。急いで行かねばならない。
「相手は?」
『すみません、安室さん。今から急いで向かわなきゃいけないので。この店にはあまり関わらないようにして下さいね。では。』
彼の言いたげな顔を無視。とりあえず行かなければ。
「……ラム、そしてジン、か。」
後日、この店の次期店長が殺された。その次期店長が書いていたブログには、彼女の豆を取り扱っている店が酷評されていた。
________
『お疲れ様ー。大丈夫?』
「とりあえず冷やしたので。」
『だから扱いには気を付けろと。あれほど。』
ご近所の男子高校生である仁君にはいつも私が配達でいない間の店番をしてもらっている。もちろん給料は渡している。つまりバイトだ。
「にしてもAさんって毎回配達遅くないすか?」
『なに?文句?喧嘩?やる?』
「やるってなに?いや、そうじゃなくて、配達って俺出来ないからどんなのかなーって」
『いろんな喫茶店見れるし楽しいよ。』
「かー、俺も早く免許取って配達してえ」
『高校生のうちはダメだなー。早く卒業してくれればねー。』
「まあ、そっすよね。」
『それで?珈琲淹れようとして火傷した手はどこかな?』
「はは…すんません」
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京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» :−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京風ラーメン | 作成日時:2020年1月11日 2時