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12.恰幅 ページ14

「おい、そこのお前」

『ん?』


夕方頃。綺麗な紫色が混じる空。美しい空が見れる上に心地よい風が吹く。この時間が好きだからといって買い出しに行く日は公園で30分ほどぼーっとする。

普段は猫とくらいしか会話をしないのだが、今日は違った。



「ボール取ってくんねーか?」


少し大柄、いや、恰幅の良い小学生だろうか。ぼーっと空を見ていた私に話しかけてきた。


『ボール?ああ、これね。』


足元に転がってきていたボールに気付く。なるほどね。サッカーの最中にこっちに飛んできてしまったのか。恰幅の良い男の子の奥には女の子が1人と男の子がもう1人いる。

仲良し三人グループだろうか。


「早く取ってくれよ!」

『君、何歳?』

「え?」

『だから、何歳?何年生?』

「一年生だけど…」

『そう。私は小学生じゃないんだなー。幼稚園児でもないんだ。』

「何言ってんだ?あたりめーだろー!」


眉を寄せて、強めの言葉で向かってくる。私だってこういうのは得意じゃないけれど。年下は苦手だけど。それでも、私は大人として言わねばならぬのです。




『よーし、じゃあまだ小学生の君に教えてあげよう。まずはね、人に何かを頼むときは敬語を使いましょう。』


「…取ってくださいおねーさん」


『そう、素晴らしい。それとね、大人の人と話すときは出来るだけ敬語を使おうね。私はあんまり気にしないけど、社会に出たとき大変だからね。』


「社会に出たとき?」




「ちょっと元太くん何やってるんですか!早くサッカーしましょうよー!」

「お、おう!」



奥から大声で呼ぶ声。ヒョロっこい子供だ。それに反応してすぐに走っていく恰幅の良い男の子。
素直な反応は可愛いものだ。このまま良い大人に育ってほしいと思う。




若いって良いなあ。私も公園で友達と遊びたいな。




「ねーちゃんあんがとよ!!!!」


突然止まったかと思えば振り向いて手を振りながらそう言ってまた友達のところへ走り出した。


『どういたしまして。』


出来るだけ声を大きくして返したけれど聴こえているだろうか。

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京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» :−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京風ラーメン | 作成日時:2020年1月11日 2時

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