10.飲酒 ページ11
『いよっしゃおやっさん！もう一杯下さいな』
「応よ！にしてもちょっとはペース落としたらどうだい？」
『いやいやまだまだ飲んでけ飲んでけでしょう』
「酒飲むとリズミカルでハイテンションになるよなあAちゃんは。」
『はっはっは。いやあ、それほどでも』
今日は久々の酒。それも外に出ての酒。
普段家でビール片手にサッカー観戦するようなのんべんだらりとした飲みじゃない。
わざわざ居酒屋に繰り出して美味しい出来立て料理をつまんでいるのだ。
『次何にしますかねえ。そろそろウイスキーに入ろうかなあ』
「ほお、お強いんですね。」
『それなりですけどね。あ？』
「こんばんは。」
ニコッと擬音がつきそうなほど憎たらしい笑みを浮かべて隣に座った男は安室透。暗めの照明でいつもの金髪がさほど眩しくない。
「お酒飲まれるんですね。あれ？でも以前弱いとおっしゃっていませんでしたか？」
『よーし！おやっさん！お次のお酒をお注いでくれ！そうだなあ次は、アレにしようアレ。』
面倒な追求はパスパス。うまく躱していこう。もうすこし飲んで満足したら飲みすぎたって言って早めに帰ろう。
「アレってなんだい、Aちゃん。」
『アレですよアレ。バーボンの仲間のやつ。なんかこう似てるやつ。ちょっと酸味があって、甘みが奥から来るやつですよ。』
「スコッチのことかい？」
『あーそれそれ！私の体は酒に飢えてるんですよ、マスター。急がないと私の体が限界を迎えて』
「………スコッチ…」
スコッチ。お酒の銘柄を神妙そうな顔で呟いて、泣き出しそうな顔をする隣の男は今までに見たことのない顔だ。いつもの、完璧な彼とは別人なんだと思ってしまった。
『…なんですか安室さん。居酒屋に来たんだったら酒頼まなきゃ。なに辛気臭い顔してるんです。ほら、何飲みます？ビール行きます？ビール行きましょ。食べれますよね？うんじゃあ頼みましょう。よーしおやっさん、ビールと焼き鳥と塩辛下さいな。』
「あいよっ」
有無なんて言わせない。私だって隣で泣きそうな人がいれば助かるくらい、慰めるくらいのことはできる人間性を持っている。
それが居酒屋ならば尚更。知らない人だったらもっと優しくしているけれど、仕事上の取引先ともあれば迂闊に踏み込めない。
私にできることは飲み代を奢ってやることくらいしかないのだ。
『ほら、飲みましょ。もう無理？いーや。無理じゃない。もう一杯いってみましょー！』
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京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (
レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» ：−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京風ラーメン | 作成日時：2020年1月11日 2時
