1.嫌味 ページ1
『イケメン店員が入ればそりゃ消費も激しいってことですか。』
多少の嫌味を交えるが口元は微笑む。別に彼が憎いから言ってる訳でも無い。それどころか、私と彼は初対面だ。
嫌味の理由は些細なもの。
最近になってお得意様の喫茶店からの依頼量が突然増えた。それも2倍どころでは無いほどに。
その入荷量に比例し残業時間も上昇気味。
私の睡眠時間が削られたのだからその原因を責めてしまうのは仕方のないことでしょう。
嫌味の一つや二つ、許してほしいものです。
「そんな、貴女の焙煎が上手いからでしょう。」
『おっと、お世辞には乗りませんよ。調子に乗って大量に豆を持ってきていいんですか?』
「貴女の豆ですから。簡単に売り捌けますよ。」
『顔を武器にして、ですか。』
はは、と困ったように笑う目の前の金髪褐色肌の男は最近入ったらしいお得意様のアルバイト。
社交性抜群、身体能力抜群、料理の腕前も抜群だと噂には聞いていた。
思ったよりもこれは才色兼備の男らしい。
「でも、本当ですよ。貴女の豆が美味しいから、このポアロもお客様が根付いているんでしょう。」
『常連さんの中には私の顔を覚えてる方もいらっしゃいますからね、ありがたいことに。』
「おや、人気者なんですね。」
『貴方に言われたところで』
嫌味にしか聞こえませんよ。と胸の中で呟く。
喫茶店ポアロ。
かの有名な毛利小五郎探偵事務所の同じビルの一階に所在している安くて美味い喫茶店。
私はそのポアロとは随分と長い付き合いをさせていただいている。
マスターとはたまに飲みに行く仲だし、梓さんとはショッピングをしたこともある。ポアロの常連さんの顔だって覚えている。一緒に麻雀をしたこともある。
プライベートでも繋がりの深い相手だった。
その店に突然アルバイトとして現れた金髪褐色肌の彼。
顔がとにかく良い。
マスターも梓さんも「店に入る客が増えて嬉しい」とは言ってるが私からしたらたまったもんじゃない。
確かに経営的には集客率が高い方がいい。
けれど。
けれども。
『コーヒーを残す人は増えましたか?』
それは許せないことですから。
ポアロの珈琲豆は全て私から仕入れられている。
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京風ラーメン - 武虎さん» コメントありがとうございます。この後の展開もその勘違いが上手く繋がっていくように考えていますので、2人を楽しく見守っていただけると嬉しいです。武虎様も、流行の病のみでなくインフルや花粉、五月病に負けぬようお身体を大切にして下さいね:) (2020年2月29日 1時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
武虎 - 勘違い……なんだけれどもかみ合って進んで行く楽しさ。大好きです。この御時世、お身体ご自愛しつつ更新をお願い致します。 (2020年2月27日 21時) (レス) id: a4e61f3629 (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます。勘違いの部分を楽しく見ていただからとこだわった甲斐があります。更新も出来る限り頑張っていきますのでこれからもよろしくお願いします。 (2020年2月22日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
桜ひかり(プロフ) - 勘違いが凄すぎて笑ってしまうwww更新してくださるの楽しみにしてます (2020年2月18日 21時) (レス) id: d6d394990c (このIDを非表示/違反報告)
京風ラーメン - 鴉屋媒鳥さん» :−P (2020年1月31日 0時) (レス) id: 58d253c9c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:京風ラーメン | 作成日時:2020年1月11日 2時