【名探偵コナン】お得意様の喫茶店【安室透】

8.完璧 ページ9

『こんにちは。』


沢山人いるなあとは思っていたけど、せめて梓さんもいると思ってた。まさか今日梓さんが休みで店員一人で補っているなんて思ってなかった。




「こんにちは、すみませんお待たせしてしまって…今日は人手不足でして。」

『いえ、大丈夫ですよ。今日はいつもよりも混んでましたね。』

「ええ。梓さんが休みで大変ですよ。ピークも過ぎて今はなんとか。」

『それでも接客は丁寧で素晴らしかったですよ。少しだけ見させていただきました。』



そう。彼は完璧すぎる。忙しい中安室さん目当ての女学生が席を取って帰らなくても彼は完璧な対応で女学生を追いやっている。




「はは、貴女に褒められるなんて。貴女は僕のこと嫌っているようでしたから。」

『ああ、そう見えていましたか？嫌いな人間の長所も褒められないような浅ましい人間に。』

「いえ、そんなことは。貴女のような人に褒められて純粋に嬉しいだけですよ。」

『そうですか。』



嫌味を言っても流されてしまう。やはり完璧人間、そう、パーフェクトヒューマンなのだ、彼は。



「そうだ、僕Aさんに聞きたいことがあったんです。」

『なんでしょうか？マイナンバーと銀行の暗証番号以外なら答えますよ』

「いえ、ね。Aさんはお酒とか飲まれます？」

『はあ、お酒ですか。』


昔コナン君にも聞かれたような気がする。
お酒か。色んな種類を味比べするのが好きでよく飲む。

けれど、基本的に誰に聞かれても弱いから飲まないって答えるようにしてはいる。理由としては、お酒飲めるって知られて飲み会や居酒屋に誘われでもしたら面倒になってしまうから。

家で一人で晩酌をするのが何より最高な飲みだっていうのに。麻雀しながら酒を飲むのは例外。




『弱いんですよ。居酒屋も得意じゃないですし。飲めるっていうと甘酒くらいなんですよ。』

「ほぉ、弱いんですね。」

『ええ。元々炭酸が苦手なので。それに珈琲工房を開いてることもあって飲み物は基本的に珈琲ですね。自営業の利点って自分の好みの豆が出来ることですよねー。』

「やっぱり珈琲がお好きなんですね。」

『ええ。安室さんはお酒とか飲まれるんですか？』

「…ええ、それなりに。」



若々しいこの見た目で酒を飲む姿を想像すると、お酒が解禁されて喜ぶ大学生が思い浮かぶ。

どうせ飲むのはビールか、それともお洒落なカクテルか。





「…バーボンなんかは特に、ね。」




彼の小さな呟きは気にもしなかった。

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