きゅーしゅつ ページ49
とある小さな廃工場にて、人相の悪い男が一人、タバコをふかしていた。
そんな時。
ガタン、という荒い音が工場内に響いた。
「……誰だ」
光が差し込める扉から現れたのは、マスクをした二人組の男。治崎と玄野である。
次に、反対側の扉から現れたのはヒーロースーツ姿の相澤。彼の数歩後ろには天喰が息を切らしながら携帯で警察を呼んでいた。
「よぉ若頭。こんなところにどんな御用で?」
「俺にそんな口が利けるとは、随分と偉くなったな。閻魔。組から抜けて足を洗ったと聞いていたが」
「……あっちの小汚ねぇ男は?新しい駒かよ」
「いいえ。あれはAの引き取り先のヒーローですよ」
「マジか。こりゃまた若い男捕まえたな、このクソガキがよ」
転がった幼い体を踏みつけながら、透司はシケモクとなったタバコを指で跳ね飛ばす。
「つーか、このガキと知り合いだったのか」
「色々ありやしてね。そいつには恩がある」
「ハッ、ヒーローだけじゃ飽き足らずヤクザまでたらしこむとか。あの女によく似てやがる」
「不合理な会話中失礼だが、さっさとAを返しちゃくれませんかね、お父さん。出来れば無事に」
「返すのは構わねぇけどよ。もうこいつ傷モンだぜ?」
「は?」
透司がAの体を蹴って転がす。
よく見れば頭に多量の出血。髪で隠れていた小さな肢体に、無数に付いた生傷。白く柔らかな肌が血で真っ赤に染まっている。
「さっき殺した」
平然と放たれた言葉は、その場の空気を鋭く凍てつかせた。
扉越しに外で聞いていた天喰が膝をつく。相澤の目はこれ以上ないほどに見開かれ、玄野の顔は生気を無くし、僅かに土気色になっていた。
ただ一人、治崎は眉ひとつも動かさずに口を開く。
「生きてるじゃないか」
「は?んなわけ」
治崎の目はAを見据えている。それにつられて男達もAの方を見た。
ゆっくりと起きる体。ぱっちりとした大きな目は、どこか普段よりも赤黒く、血のような色であった。
「私は……閻魔あい。この子の個性」
「個性…?Aは無個性のはずだが」
「どうやらそうでもないかと」
「何?」
治崎と玄野は、前にAの個性をその目で見ている。
「自我のある個性か。それで今の今まで出てこなかったんだな」
「殺し損ねたな。閻魔」
「クソが。さっさと死んどきゃいいのによ」
透司が大きく舌打ちする。
すると、Aもとい、閻魔あいが血で汚れた口を開いた。
「Aは死んでいるわ」
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雪羅(プロフ) - Miraiさん» コメントありがとうございます!読者さんのノリが良くてこっちも面白いです。ごくせん好きなのでそう言って頂けて嬉しいです!! (2020年3月11日 13時) (
レス) id: 9caae3673b (このIDを非表示/違反報告)
Mirai - なんかごくせんみたいだった。面白かった、、ｗｗｗ (2020年3月10日 12時) (レス) id: 425ef9bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai - 初コメなんですけど、ここのコメ欄面白すぎません？やばみざわなんですけど？時代遅れがでてしまった、、 (2020年3月10日 11時) (レス) id: 425ef9bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - アトラさん» くっ…漆黒の翼め…!この性(聖)なる母である私に喧嘩を売ろうというのか!? (2019年7月31日 22時) (レス) id: 9caae3673b (このIDを非表示/違反報告)
アトラ - ふふ...漆黒の翼の私前ではそんな言葉珍しくもないわ(変態) (2019年7月31日 10時) (レス) id: 32785243ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪羅 | 作成日時：2019年3月22日 12時
