またシリアスですよコノヤロー ページ46
前世、家庭環境は割と幸せだったが故に自分には関係の無いことだと思っていた児童虐待。それが今世この身に起きたことはそれなりにショックだった。
「今のって、もしかして…」
紅茶を右手に、緑茶を左手に持った環くんが隣に座った。
「ああ、そうだよ環くん。私の親父さ」
そっと、環くんの右手から紅茶を受け取る。
「沢山人がいるここなら安全だろう。しばらくはゆっくり待とうね」
「相澤さんに連絡は…」
「ヘーきよ。GPS持ってるし、さっきのニュースだって見てるはず。連れてかれた時はGPSは死守するから、環くんはお家に帰るんだよ?」
言うと、飲もうとしていた緑茶を口から離し、うなだれるように俯いた。
「……なんだ、それ」
中学2年生男子の握力で潰れていくペットボトル。ベコッと音を立てたかと思えば、緑茶が溢れて環くんのズボンにかかる。
「そんなの、俺は嫌だ」
「嫌って言われてもね…それが最適解なんだ。ごめんよ、たま…」
「俺は!」
「環くん声大きい」
突然声を荒げた環くんを宥める。
「……ここで守れなきゃ、ヒーローを目指した意味が無い」
おっと、どこかで聞いたことあるな。その言葉。
「すき……じゃなくて、幼馴染みを守れるくらい強くなきゃ…ヒーローなんてなれないんだ」
「好きな子って言いかけただろ環くん」
「っ…とにかく、俺は絶対離れたりしない。俺がAさんを守ってみせる」
「あらあら…」
この子はこの子なりに、私を守ろうとしてくれるのね。男の子らしくて大好きよ。
緑茶が入ったペットボトルに蓋をして、色んな意味で顔が赤くなっている環くんのズボンを拭いていく。
「環くん」
「ん?」
「だーいすき」
「ん゛っ…」
嫌よ嫌よも好きのうち…なんて言葉があるけど、こっちはそんなの関係なく好意を伝え合うのだから見ている方が恥ずかしい。生憎、恋愛は未経験だからこんなやり方しか知らないんだな。
「さて、もう少し人が多いところに行」
「…え」
────
──
個性 透明化。自分、及び触れているものを透明化させる個性。連続使用は10分まで、再使用には1時間のインターバルが必要。
それでも、近くに止めてある車まで、12歳の女児の口を塞ぎながら運ぶには充分すぎる時間だった。
耳たぶを2回つまむように挟む。2コールの後、聞きなれた優しい声が耳を通る。
「今日はデートじゃなかったんですか?」
「助けて」
「は?」
「助けて」
瞬間、後頭部に鈍い痛みが広がった。
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雪羅(プロフ) - Miraiさん» コメントありがとうございます!読者さんのノリが良くてこっちも面白いです。ごくせん好きなのでそう言って頂けて嬉しいです!! (2020年3月11日 13時) (
レス) id: 9caae3673b (このIDを非表示/違反報告)
Mirai - なんかごくせんみたいだった。面白かった、、ｗｗｗ (2020年3月10日 12時) (レス) id: 425ef9bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai - 初コメなんですけど、ここのコメ欄面白すぎません？やばみざわなんですけど？時代遅れがでてしまった、、 (2020年3月10日 11時) (レス) id: 425ef9bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - アトラさん» くっ…漆黒の翼め…!この性(聖)なる母である私に喧嘩を売ろうというのか!? (2019年7月31日 22時) (レス) id: 9caae3673b (このIDを非表示/違反報告)
アトラ - ふふ...漆黒の翼の私前ではそんな言葉珍しくもないわ(変態) (2019年7月31日 10時) (レス) id: 32785243ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪羅 | 作成日時：2019年3月22日 12時
