好きな子のバイク【ヒロアカ】 (ページ15)

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15.インターンページ15

ヒーロー仮免許を取った生徒にやってくるのは、責任と自覚。
そして、ヒーローインターンである。

「お兄ちゃんお兄ちゃん、どう？たこ焼き食べない？」

見知らぬ女性に声をかけられて振り返ると、まだ湯気が肉眼で見えるくらいアツアツのたこ焼きが、プラスチックパックに入って並んでいた。

「あ、えっと」

「おっ、ええなーねえちゃん！5つちょーだい！」

「まいど！」

ヒーローインターンはヒーロー事務所にインターン生として迎えてもらう制度。
ある程度自分で選べるし、紹介してもらうこともある。
仮免試験に受かってからある程度は選ばせてもらったが、事務所選び、早速間違えたかもしれない。

「天喰くん、いくつ食べる？」

「ひとつで」

「なんや雄英生は少食やな！ほんなら俺が食べたろ」

雄英生は関係ないだろう。

…BMIヒーローファットガム。

それなりに実績があり、それなりに知られている。
店員さんからたこ焼きを受け取って、そのうちの一粒に口をつける。

「雄英生と言えば、1人気になる子おるんやけど、天喰くん知っとる？」

「どんな人ですか」

「黒髪ショートの…めっちゃ足速い子」

「……体育祭初戦で1位になった子ですか」

「知っとるんか？」

知ってるも何も、好きな子です。
なんて言えるはずがない。

「武闘派ヒーロー欲しいんやけど、身体強化系の個性は武闘派になりやすいしな。知り合いなら紹介してくれん？」

「紹介するのはいいですけど、彼女は普通科です」

「エッ！そら困るわ〜。今から編入もムズいしな…他探すか」

普通科でもファットの留守を預かるような仕事はできる。ファットの実績からして、事務員若干名雇うくらい、わけないだろう。
もし彼女が将来、ファットの事務所に入るようであれば、このままサイドキック入りしたい。雰囲気は向いてない職場だが、悪いところではない。

進言しようと口を開いた時、女性の叫び声が聞こえてきた。

「ほんまに武闘派足りんなぁオイ！」

───
──

敵退治を終え、事務所まで戻ると、受付の人から労いの言葉をもらった。
軽く感謝を伝え、ファットの机に置かれたホルダーを手に取る。
挟まっている白紙の報告書を抜き取り、空いている面談机に置いて座る。
報告書を書く前に、少し周りを見る。
サイドキックが2人、職員が2人。
それぞれがパソコンや紙が沢山挟まったホルダーとにらめっこしていた。