好きな子のバイク【ヒロアカ】 (ページ2)

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2，歳が同じだからって面識の無い人と会わせようとする大人撲滅委員会ページ2

どうやら小さい頃に会ったことがあるらしい本田さんは、大きな黒いワゴンに乗るよう合図した。
母親は奥さんの方の本田さんと買い物に出かけた。父親は俺と一緒だ。

「んで、環くんはどんなのに乗りたいの？」

「色々調べてみたんですけど…いいのが無くて…」

「まぁねー、原付だとそんなもんよ。」

「HONDAのダンクなんかどうだ？割とかっこいい車体してるだろ？」

「ああ…うん…」

思い切りの悪い返事をした。

一件目のバイク屋さんは、町の小さな個人営業的な店だった。
店の外に色んなバイクが並び、店内にはメーカー純正品らしいヘルメットやリアボックスが数多く陳列されていた。

「ここはYAMAHAか。」

「YAMAHAだったらビーノが1番人気だろうね。丸い車体が女の子にも人気で。」

「ジョグなんかも王道のデザインでいい感じだな。」

俺を置いていくようにバイク談義が交わされる。
正直いいものであればなんでもいい。どうせ乗らない。

煮え切らない態度の俺を見かねて、次の店へと促す本田さん。
二件、三件、四件と回ったが、どうもピンとくるものがない。
空腹に気がついた時には14時を回っていて、とりあえず近くのファミレスで遅めの昼食を取ることになった。

「いやぁ、うちの娘はすぐ決めてくれたから難儀だなぁ。」

「そういえばAちゃんは最近どうよ。」

「元気だよ。環くんと同じ中学と高校だから、会ったことあるんじゃないかな？」

「えっ？」

「本田Aって聞いたことない？」

言われてみれば聞いたことがある。
雄英を受ける人は大抵その名前を晒されるからだ。
何しろ天下の雄英校。どの科を受けようが、受験者は色んな意味で注目を浴びる。

「あ、なんだったらA呼んで手伝ってもらおうか。歳も同じだし。」

歳が同じだからと言って面識の無い人と会わせようとする大人は滅んでくれたら嬉しい。
そんなことを思いながら例の子を迎えに本田さんの家へ。
家の近くのマンション前に車が停ると、窓から見える美少女に目がいった。

後部座席の黒い窓越しでもわかるほどに整った顔立ち。
スラリとした体躯。
黒髪のショートカット。
服は白いシャツに黒い上着、細めのデニムパンツを着ている。

車に気づいた美少女が、俺の反対側のドアを開け、凛とした声を口から鳴らした。

「こんにちは。」

「……こんにちは。」

父親の再開を喜ぶ声が遠い。
車に乗る時に屈んだ彼女の胸元に、自然と目線が集中する。

随分と大きいと思った。