残念ながら、若とは結ばれないのです ページ30
「…どういうことかしら」
目の前にぶら下がる蜘蛛を睨みつける。
あの後若は私を無事に返してくれたけど、またいつ呼び出されるか分からない。彼にとって、私は野放しにできない危険人物だしね。
「それだけ、お前と男の絆が強かったというだけだ」
「悪く言えば共依存状態…か」
いつの間にやら、クロノさんの感情も気配でわかるようになっていた。若の微妙な表情差分も。
よく言えば、これを愛情と。悪く言えば、互いに依存しあい、縛り付けているのだと。
私達の関係がいかにドロドロで、粘着質だったものか、よくわかる。
環くんだって最終的には私に異常な依存を見せた。消太お兄ちゃん達は一目連に調べさせたけど、原作と変わらないらしい。
蜘蛛の目の模様がグルッと回ったかと思うと、机の上の古いパソコンから、鈴の音に似た通知音がした。
「仕事だ。あい」
「…うるせーよ」
「受け取りなさい」
「これは…?」
目の前の中年男に藁人形を渡す。
「あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、この赤い糸を解けばいい。糸を解けば、私と正式に契約を…」
「じゃあ今すぐにでも…!」
「ただし、あなた自身にも代償を支払ってもらう」
「はぁ!?」
ああ、哀れだなぁ。
「人を呪わば穴二つ…あなたが死んだら、その魂は地獄に落ちる。極楽浄土へは行けず、あなたの魂は痛みと苦しみを味わいながら、永遠にさ迷うことになるわ」
「悪いのはあの男だろうが!!なんで俺まで!」
「……あとは、あなたが決めることよ」
夕暮れの里から男を追い返す。
大抵の人は似たような反応をするけど、流石にこれは笑える。人を怨むのは勝手だが、楽な方法で怨みを晴らせるなんて思わないで欲しい。
…しかし、気になるのは依頼人ではなく、その怨みを晴らす相手。
パソコンの白い枠の中を見て、私は大の字になって寝た。
「若…」
そこには、はっきりと、治崎廻の名があった。
────
──
さて、色々と先延ばしにしていたが、今日はやっと環くんに会う。と言っても、電車に乗る彼を遠目から見るだけだが。
ドア付近でつり革に掴まる環くん。左腕には、白い包帯が巻かれている。個性を消す弾丸を受けたからだろう。アニメで見た。昨日の出来事だ。
ふと、環くんと目が合った。
一瞬ドキッとしたけど、あの子も目を合わせて話せない人見知り。すぐに目を逸らして、スマホに目を向けた。
……変わりないみたいで、良かった。
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雪羅(プロフ) - 神月ティアナさん» コメントありがとうございます！この作品内だけのオリジナルセリフなので忘れちゃいますよね！「危ない男は好きよ」の最初にありますので、また読む時の参考にどうぞ！ (11月2日 9時) (
レス) @page22 id: e292c4e8a5 (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - この作品の(名前)ちゃんの地獄通信の仕事での決め台詞いっぺん死んでみる？の前のセリフ好きだけど忘れちゃって毎回どのページにあるのかも忘れちゃうから何回も往復してる (10月16日 5時) (レス) @page9 id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - にいはさん» コメントありがとうございます！ぜひ夢主ちゃんに身体を預けてください。一瞬で夢見心地です。天国です。 (2022年2月23日 23時) (レス) id: 9caae3673b (このIDを非表示/違反報告)
にいは - 夢主にお胸揉まれたい。ちゅーしたい。愛でられたい。雪羅様、神でした。ヤンデレなの最高でした。現場から、語彙力が４んだ変態からお送りしました（？） (2022年2月6日 20時) (レス) @page41 id: 399162e827 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - (´???｀)ぬんさん» なんと!私の夢小説が初!これは嬉しい限りでございます!この作品長かったですよね、お疲れ様です。一応小説としては終わりなんですが、まだ分岐ルートがあるのでそれも見ていただければと…。コメントありがとうございます! (2020年7月15日 22時) (レス) id: 9caae3673b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪羅 | 作成日時：2020年1月22日 13時
