検索窓
今日:15 hit、昨日:15 hit、合計:27,652 hit

. ページ15

.





今にも座り込んでしまいそうな雪の膝裏と背中に手を回した冴はその体を抱き上げた。そして、その足が向かう先は一つだけしかないキングベッドだった。優しくベッドに降ろされた雪は自身に覆い被さる浅葱色に息が詰まった。どうして、どうして、そんなにも悲しそうな顔をするのだろう。雪の頭が疑問符で埋まる。しかし、それでも自分は彼を突き放さなければいけないと勿忘草色を歪めた。


『冴、お願い離して』


思えば、冴と仲のいい友達になんて戻れないことなんて雪は頭の中でとっくに分かっていた。浅葱色を揺らがさせた日から、浅葱色を歪ませた日から、分かっていたのだ。しかし、どこかで偶然会えばまたくだらない話をして笑って、昔のようになれると思っていた。友達に、なれると思っていた。それなのに、


「お前は俺の番だろ」

『さ、え』


あの涙を滲ませた浅葱色はどこにもなかった。ただただ自分を睨むように、熱を孕んだ浅葱色だけが雪を映し出していた。あぁ、この目はいけない。本能なのか何なのか、しかし雪にはその浅葱色は自分には毒にも蜜にもなると自然と分かった。それでも雪の体は動かなかった。それは冴が自分を未だ番だと呼んだからだ。もし、彼は自分がベータと知ったのなら、ここから自分を解放するのだろう。自分にとってはそれが一番良い選択肢だというのに雪の心はひどく締め付けられた。しかし、雪はここに自分はいてはいけないと下唇を噛む。

それは、ここが番のオメガとアルファが泊まるのに人気なホテルだったからだ。その理由は、発i情期のオメガに気遣わられて作られていたからだ。しかし、ベータである雪にとってはそんなことなど関係がなかった。だから、ここに来たってオメガでない自分は発i情期にならないから意味がなかった。それが雪を一層惨めにさせた。


『ちがう、』


雪が震えた声で発した言葉は何とも弱々しかった。それでも、勿忘草色は浅葱色からは目を離さない。そして、浅葱色もまた勿忘草色を逃さないとでもいうように捉えていた

.→←告白



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (89 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
192人がお気に入り
設定タグ:ブルーロック , 糸師冴
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うつ(プロフ) - 砂時計さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます。冴くんの執着心と激重感情を描きたかったので、少しでも楽しんでいた抱けたのなら幸いです♡たくさん褒めてくださりありがとうございます、!わたしも砂時計様に読んでいただけて幸せです😿 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 初めまして。この度は素敵な作品を書いて下さりありがとうございます。1話目の何がなんでも夢主を手に入れようとする激重冴くんに心臓を撃ち抜かれ、一気読みしてしまいました。ストーリーのテンポも、揺れ動く感情描写も素敵で…っ 作者様の作品と出会えて幸せです😭 (2023年3月27日 12時) (レス) id: 9f48da2d13 (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 仙波さん» オメガバースって本当に素晴らしいですよね、!そう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます! (2023年2月13日 11時) (レス) id: 20ff7f32df (このIDを非表示/違反報告)
仙波 - オメガバ!!オメガバ!!!オメガバ作品はなんでも読む人です、めっちゃ面白いです。 (2023年2月12日 18時) (レス) @page1 id: 66b0f4d018 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:うつ | 作成日時:2023年2月5日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。