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そもそも、なぜ冴が雪に番になろうという約束を持ちかけるほどに、執着してるのかといえば、ことの発端は雪が冴のサッカーの練習をする場面を見かけたことだった。その日、冴は練習試合の際に失敗してしまったシュートを反省した後に、その反省点を意識しながらシュートを一人で練習していた時にたまたま雪が通りかかり、冴を魅入ったようにフェンス越しに見つめていたのだ。


「おい、なに見てんだ」

『ぁ、ご、ごめんなさい……!』


そんな雪の視線に気がついた冴は、彼女の方を見て睨みながらそう言った。もちろん、睨まれてそう言われれば怯んでしまうに決まっているわけであり、雪は自身を睨む浅葱色に声を震わせながらも謝罪の言葉を述べた。その勿忘草色には薄い水の膜が張ってあり、冴は慌てたように口を開いた。


「べつに怒ってない」


そっぽを向いてそう言った冴に雪は安堵する。そして涙が引っ込んだ雪を横目げ確認した冴は勿忘草色と視線を合わせた。


「それで、何で見てたんだよ」

『えっと、何でだろう?』

「は、?」

『ち、ちがうの!かっこいいなって思ったらいつのまにか見ちゃってたの!』


しかし、その言葉を聞いても冴の開いた口は塞がらず、納得の声も出でこなかった。それもそうだろう、初めて会った女の子にかっこいいという理由で自主練習を見られるのは初めてだったのだから。


「かっこいいって……」

『うん、一人でれんしゅうしてるのかっこいい』


誰にも見られない、褒めてもらえない。どれだけ努力したとしてもそれは'天才'という言葉だけで片付けられてしまう。そんな自分自身を見て褒めてもらえることなど初めてだった冴はひどく勿忘草色が目に焼きついた。


『ねぇ、あしたもまたきてもいい?』

「え、」

『かえりみちだから。ダメならべつの道からかえるけど』


『ダメかな?』なんて少し眉を下げて笑いながらそう言う雪に、冴は言葉が詰まるが「好きにしろ」とそっけなく言った。こうして雪が冴の練習終わりの自主練習の時間に来るようになり、二人は仲良くなったのだ。そして、雪の素直な言葉によって冴は絆されてゆきいつの間にか雪に恋をしていた。それが今の二人の関係である。

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設定タグ:ブルーロック , 糸師冴
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うつ(プロフ) - 砂時計さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます。冴くんの執着心と激重感情を描きたかったので、少しでも楽しんでいた抱けたのなら幸いです♡たくさん褒めてくださりありがとうございます、!わたしも砂時計様に読んでいただけて幸せです😿 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 初めまして。この度は素敵な作品を書いて下さりありがとうございます。1話目の何がなんでも夢主を手に入れようとする激重冴くんに心臓を撃ち抜かれ、一気読みしてしまいました。ストーリーのテンポも、揺れ動く感情描写も素敵で…っ 作者様の作品と出会えて幸せです😭 (2023年3月27日 12時) (レス) id: 9f48da2d13 (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 仙波さん» オメガバースって本当に素晴らしいですよね、!そう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます! (2023年2月13日 11時) (レス) id: 20ff7f32df (このIDを非表示/違反報告)
仙波 - オメガバ!!オメガバ!!!オメガバ作品はなんでも読む人です、めっちゃ面白いです。 (2023年2月12日 18時) (レス) @page1 id: 66b0f4d018 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うつ | 作成日時:2023年2月5日 0時

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