おさない ページ1
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「おおきくなったら、おれと番になろう」
『"つがい"ってなぁに?』
小学生になったばかりの冴と雪は二人で手を繋ぎながら夕焼けの空の下を歩く。そんな中、冴が雪にそう言う。しかし、雪は"番"という言葉は初めて聞いたようで、首を傾げながら冴に"番"という言葉の意味を聞いた。
「ずっといっしょにいること」
『ずっと?』
「うん、ずっと」
その言葉に雪の表情は明るくなり、勿忘草色は期待の眼差しでキラキラと輝いているように見えるほどである。そして、雪は首が取れそうなくらいに頷いた。
『なる!わたし冴くんの"つがい"になる!』
「ほんとう?」
『うん!ずっといっしょ!』
太陽にも負けないほどの笑顔でそう言った雪に冴の心臓はまた射抜かれた。自分とずっと一緒にいられるという事に好きな人がこんなに喜んでいるというのだ。嬉しくないわけがない、と冴は小学校低学年という幼いながらにも雪に対して恋をしていたのだ。それも、好きな人が何人もいるという小学生特有の可愛らしいものではなく、今のようにこの世界に存在する第二の性を利用してでも雪を手に入れようとするほどのものだった。
『やくそくだよ冴くん』
『わたしを冴くんのつがいにしてね』嬉しそうに細められた勿忘草色が冴を映す。そんな雪に冴は短く返事をする。これで、雪と冴は将来"番"になることが約束された。糸師冴という男はまだ何も知らない彼女なら、すぐに約束してくれると確信しながら、ああ言ったのだ。そんな冴に対して、雪は番どころか、第二の性すら何もわかっていないままその約束を結んでしまった。
プロポーズともとれるその約束に二人は顔を見合わせて笑顔になった。傍から見れば微笑ましい約束だ。しかし、片方は本気だと思えばそれは呪いの様にも見えるが、それは誰にも分からない。
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うつ(プロフ) - 砂時計さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます。冴くんの執着心と激重感情を描きたかったので、少しでも楽しんでいた抱けたのなら幸いです♡たくさん褒めてくださりありがとうございます、!わたしも砂時計様に読んでいただけて幸せです😿 (2023年4月10日 11時) (レス) id: c201149121 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - 初めまして。この度は素敵な作品を書いて下さりありがとうございます。1話目の何がなんでも夢主を手に入れようとする激重冴くんに心臓を撃ち抜かれ、一気読みしてしまいました。ストーリーのテンポも、揺れ動く感情描写も素敵で…っ 作者様の作品と出会えて幸せです😭 (2023年3月27日 12時) (レス) id: 9f48da2d13 (このIDを非表示/違反報告)
うつ(プロフ) - 仙波さん» オメガバースって本当に素晴らしいですよね、!そう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます! (2023年2月13日 11時) (レス) id: 20ff7f32df (このIDを非表示/違反報告)
仙波 - オメガバ!!オメガバ!!!オメガバ作品はなんでも読む人です、めっちゃ面白いです。 (2023年2月12日 18時) (レス) @page1 id: 66b0f4d018 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うつ | 作成日時:2023年2月5日 0時