二十一幕 ページ22
………
お…落ち着かない！
なんか肩身が狭い！
「なんか、Aちゃんソワソワしてるね？」
そりゃしますよ！こんなお高そうな所なかなか来ませんもん！
って言えたらどんなに楽か…
「うどん、まだかな〜って思って…」
我ながら、苦しい言い訳…
「もうちょっとかかるかな。」
「そういえば、Aちゃんは、審神者になりたいんだよね？」
え？
何故いまそれを…
はっ！これは…テスト？！
「えと…」
「私達に遠慮しなくていいから、本当の気持ちを聞かせて？」
「なりたい…です。」
「そっか。でも、何で？」
「へ？」
「なりたい理由。なんで？」
「えと…いま、私達のいる世界を、歴史を守りたいからです！過去が…歴史が無くなれば私や、大切な人達は存在しなくなる…そんなの嫌だから…です。」
どや！模範解答！審神者試験対策で面接練習はバッチリです！
「うーん…そういう模範解答が聞きたい訳じゃないんだけどな…」
「え…ほ…ホントにそう思ってます！」
「嘘…だよね？」
「っ…」
「こんな仕事してるとね？大体どれが本当で、どれが嘘かくらいわかるの。私が聞きたいのはAちゃんの本心。」
「本心…」
「そう。何で審神者になりたいの？高給取りだから？刀剣男士にチヤホヤされたいから？誰かから、感謝されたいから？」
「違…」
「そういうのが本心ならそれはそれでいいと私は思うよ？でも、Aちゃんは違うんでしょ？」
答え…られない…
私って何で審神者さんになりたいんだろう…
藤さんの言う通り高給取りだから？
ううん違う。
チヤホヤされたいから？
それも違う。
誰かから、感謝されたいから？
これも違う…
じゃあ自分の言った通り歴史を守りたいから？
そうじゃ…ない…
なんで…審神者になりたかったんだろう…
「まあ、直ぐには答えられないよね。」
「っ…」
悔しい…何で審神者になりたいかも答えられないなんて…
これで、よく審神者試験を受けようと思ったなって自分に呆れる。
「こちら、天ぷらうどんとざるうどんです。」
「あ。ありがとうございます」
「ご注文はお揃いですか？」
「はい。」
「失礼します。」
「Aちゃん。うどんきたし、食べよう。」
「え…あ。」
「答えが出たら何時でも教えて？」
「は…い。」
そうは言ったけど答えなんて出る気がしない…
うどんの味はよくわからなかった。
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作者名：雪園霧花 | 作成日時：2018年10月13日 18時
