十九幕 ページ20
そうは言ったけど、言われてみれば変な疲労感がある気もする。
けど、始めてから気絶してばっかりで、迷惑かけてるし、このままじゃ付き合ってくれてる
それに、もうちょっとで、何か掴める気もするし！
「もう一回お願いします！」
「でも、休むのだって大切だよ？それに焦っても身にならないから…」
「もう一回だけです！最後にもう一回だけやっておきたいんです！たから、お願いします！」
「っ……ああ。もう！もう一回だけよ？そしたら休憩だからね？」
「ありがとうございます！！」
「じゃあ、行くよ？」
そう言って、藤さんが手を翳すと、透き通った羽を持った蝶が出てくる。
藤さんの宿り物、〈揚羽蝶〉だ。
本当に綺麗…宿り物って何でこう目を奪われる様な美しさがあるんだろう…
その蝶が私の手に留まって、フッと溶けるように消えた。
あ。気絶…してない！
「やった…やりましたよ！藤さん！」
「うん！良かったね。」
「はい！」
「じゃあ約束通り休憩しよう。」
えー
やっと何か掴めてきたのに…
「そんな顔しても駄目。さっきも言ったけど、休むのだって大切なんだよ？」
「はーい。」
「そんなに膨れないの。お昼奢ってあげるから、行こ？」
「はい！」
「ふっ。」
「？ 私の顔に何かついてますか？」
「いいえ。違うの。ただ、
蘇芳さん？
なんで、あの腹黒ドS様をこの私を見て思い出すんだろ？
「蘇芳くんはね、元々私についてたのよ？」
「えっ？！そうなんですか？」
「そうよ？彼、今でこそ『ああ』だけど、前は結構頑固でね〜。いまのAちゃんみたいに、『もう一回、もう一回』って言って自分の納得のいくまで私を付き合わせていたわ。」
あの蘇芳さんが？！？！
えぇー全然想像出来ない…
だって、あの蘇芳さんだよ？！何でも卒なくこなして、汗一つかかない様な蘇芳さんが！
「あら？信じて無いわね？」
「いっ…いや、はは。そんな事は…」
「まぁ、今の蘇芳くんしか知らないなら、しょうがないか。」
「蘇芳くんが
本当に想像出来ない…
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作者名：雪園霧花 | 作成日時：2018年10月13日 18時
