108.人間の女の子 ページ10
部屋に運ばれた朝食を食べた後。初めに俺は屋敷の造りを調べることにした。
まずは自分の部屋から。ふかふかのベッドにクローゼット、テーブルと椅子、お風呂、トイレなどがあってこの部屋だけで一日が完結出来るようになっている。
クローゼットの中には黒いローブと子鬼が付けるような仮面が入っている。⋯怪しいな。部屋から出ないように言いつけておきながらこんなものを用意するなんて。
「いざとなったらこれで部屋を出ろってことか⋯?」
これを付ければ子鬼だと思われて鬼から疑われないだろう。考えても埒が明かない。
「⋯次、行くか」
俺は早速ローブと仮面を付けて部屋を出た。調べた限り貴族なだけあってか、この2階建ての洋風な屋敷はかなり大きく、縦というより横に広いみたいだ。
主に鬼や使用人達の部屋、広間や書斎、ゲストルームなどたくさんの部屋があった。外には見た感じ温室まで。それに鬼にも医務室なんてものがあるのか。
屋敷を調べ始めて数時間が経った頃。
「大体は覚えられたな」
俺は自分の部屋の方まで戻ることにした。
⋯まだ調べてない部屋が一つだけある。後回しにしていた右隣の部屋だ。
“右隣の部屋にはくれぐれも入らないように”
わざわざ鬼がそう言ってたくらいだ。何か俺に見られちゃまずいものがあるに決まってる。
俺は慎重に扉を開けて中に入った。
薄暗い部屋に何者かの気配がするのがわかる。
「だれだ⋯?」
「君は⋯!」
その声で俺に気づいたのか俺を見るなりすごい勢いで走りよってきた。
え、怖っ!!
下がろうと後ずさるが、後ろにあるのは逃げ道ではなく扉だ。
「?」
ギュッと瞑っていた目をゆっくり開けると、扉付近の灯りに照らされて顕になった存在の正体は⋯紛れもなく人間だった。
「うわぁ〜!久しぶりに
「いったっ!」
その女の子がタックルを仕掛けてきたおかげで俺は扉に思い切り頭をぶつけた。
「ねぇ君!もしかしなくても
扉を背にして座った俺に壁ドンする形で倒れ込む女の子。
文句のひとつでも言ってやろうかと思ったのに、その子があまりにも目をキラキラと輝かせるから何も言えなくなってしまった。
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ルノチキ(プロフ) - サクラさん» サクラさんコメントいつも本当にありがとうございます!!申し訳ないのですが受験生のため、来年の3月くらいまで一度更新停止させて頂いています。どうか気長にお待ち頂けると幸いです。 (8月30日 17時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続きお願いします。 (8月13日 14時) (レス) id: fb2a310b55 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんコメントありがとうございます!そんな風に言って貰えてすっごく嬉しいです!!更新再開までお付き合い頂けたら幸いです。 (6月15日 16時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - こんなにも面白い作品をありがとうございます。 (6月13日 4時) (レス) @page11 id: 3f6213cd29 (このIDを非表示/違反報告)
ルノチキ(プロフ) - サクラさん» 毎度この作品を読んでくださりありがとうございます。そう言ってもらえて何よりです! (5月8日 22時) (レス) id: 78d43729cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2022年8月22日 17時