41.内通者7 ページ42
思ったよりも喉が渇いていたのか2杯目の水をコップに注ぐと同時にノーマンが来た。
「Aには言いそびれたけれど、ロープの在り処のことで...」
あぁ、そういえば俺はそのとき子供たちの面倒を見ていたんだっけ。
水を飲みながらノーマンの言葉に耳を傾ける。
「ドンには物置部屋、ギルダにはAのベッドがある子供部屋のタンスにあると伝えた。
これでなくなっていた方が──」
「内通者ってわけか」
俺がそう言うとノーマンはゆっくりと頷いた。
俺も疑われてるのか...わかってはいたとは言え誰かに疑われるのって結構くるよな。
「話はそれで終わり?」
「ああ。それとロープの確認は僕とレイでするよ」
そうしてノーマンと別れを告げてベッドに潜る。
それよりノーマンはロープを6か所分も用意したってことか?
大変そうだななんて呑気に考えて眠りについた。
今日は洗濯日和のいい天気。
ノーマンとレイとAで一つの桶で服を洗い、辺りが石鹸の匂い包まれる。
「おい、今朝みたか。シスター物置の床ガン見してたぜ?」
「うん、まさにホラーだった」
あれは今思い出しても鳥肌が立つ。
「あぁ、エマから聞いた。"標的"を探す一連の行動…ママの
さて、ママと一枚岩でないことを喜ぶべきか、鬱陶しいと嘆くべきか。」
そこまで話すとノーマンは思い出したように付け加える。
「あ、ちなみに足跡は何の確証にもならないよ。スリッパのサイズなんて年長者は誰も同じだし、時間がないなりに何を探したかわからない程度には歩き回っておいたもの」
「足跡がダメなら次また別の何かで来るぞ。問題はシスターがなぜ独自に標的を見つけたいのか。
目的如何によっては...」
「“鬱陶しい”では片づかない...」
「...シスターのお目当てのものがハッキリとわからないから余計にうざったいよな」
俺がそう言うとノーマンは呟く。
「......ギルダは
「ねぇレイ、A...内通者はなぜ内通するんだろう...」
「そりゃそうするメリットがあるからじゃね?
例えば、出荷を逃れて大人になれる──とか...」
「命の保証──か...」
「まぁレイの言う通り、ソイツにとって何らか褒賞があるんだろう。命の保証にしても、何にしても」
「⋯⋯」
ノーマンは何かをまた考え込んでいた。
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年5月9日 12時