39.内通者5 ページ40
図書室にドンとギルダを呼び出した。
「え、人身...売買？」
「うん...今までの兄弟、みんな悪い人に売られてたの......」
「プッ、だーはっはっは！！」
その言葉にドンは吹き出した。
「何深刻に話し始めるかと思ったら…アハハ、ないないないない！！」
ドンは笑いすぎてもはや涙が出ている。
「でも塀に門扉...出て行った兄弟達好きなら手紙の一つも来ないのも」
「またまたァ！で？オチは？一体コレ何の遊び！？」
ドンの笑い声が消えると静寂が広がる。
「ん？えっ本当とか言わないよね？」
「本当」
レイが即答するのを聞いて俺も黙って頷いた。
「ちょっ......え？待って、じゃあママは？」
「悪い人に私達を売ってる...」
「は！？バカ言え！！」
俯いて答えるエマにドンは叫ぶ。
「ふざけんなよ...ありえねぇだろあんなに優しい...取り消せエマ！！」
「ドン」
そんな時、ギルダがここで初めて声を出す。
「ハウスのこと、ママのこと大好きなエマがそんな嘘つく理由ない。
それにね...変だと思ってた...
あの日...エマとノーマンが門へ行って」
ギルダの声は弱々しく震えている
“門へ行った”という事実にドンはえっ、と驚きの声を零した。
あの夜丁度ドンいなかったもんな
「いつもの二人ならたとえ規則を破ってもすぐに正直に謝って元通り──なのに」
今までの疑問や不安を全て吐き出すかのようにギルダの言葉は止まらない。
「謝るどころか二人には口止めされるし、ママは本当“罰ゲーム”みたいなお手伝いさせてくるし
エマすぐどこか行っちゃうし、なんかすごく真剣だし
どんどん聞けなくなっちゃって......うっ、うわぁぁぁん」
耐えきれずに泣き出してしまうギルダ
「ごめんね...ごめんギルダ...」
エマがギルダを優しく抱きしめる。
彼女が泣くことなんてそうそう無いのにそれだけ心配かけてたってことだよな......
何とも言えない罪悪感がじんわりと胸に広がる。
「見たの？エマは
コニーも売られて行ったの？悪い人に...」
「ああ。でも間に合わなかった」
エマの代わりにノーマンが答えた
「えっ待ってコニーまさか...
無事だよな？大事ないんだよな！？」
「わからない」
“わからない”なんて内通者ではない彼らに変に希望を持たせてしまうことになる。
それがわかっているからこそレイは驚き、Aは更に俯く。
「そんな...何だよそんな...！」
「ここから逃げてコニー達助けに行こう。全員で一緒にここから逃げよう」
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作者名：ルノチキ | 作成日時：2021年5月9日 12時
