この世界で生き残るために【約束のネバーランド】【男主】 (ページ39)

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38.内通者4 ページ39

昨日の話にレイはまだ納得がいってないようで朝食の時間も不満を顕にしている。

「俺まだ納得しきってねぇからな」

美味しそうに食べるノーマンを横目にレイはそう言った。
その会話は朝食を食べ終わって尚、続いている。

「つってもさすがに現実無茶じゃね？」

「──と思うだろ？
だから裏をかけるんだ。でなきゃ意味がない」

まずは...ドンとギルダを引き入れること、か。

「チームを分けて増やせれば逃走の機動力も上がる。まずは仲間に引き入れる。
＿＿たとえ二人がママの“情報源”でもその対応はあとでいい」

「──で？実際どう話す？
いかに事実といえと言い方考えねぇと拒否られてディスられて終わりだぞ」

レイはそう言うと俺の肩に腕をまわした。

「いいか誰もが俺らみたいにソッコーで信じると思うなよ？」

「ホントそれな」

俺たちは元々知っていたから...
ハウスが実は農園だったことなど、普通だったらそう簡単に信じることなんてできないくらい現実味のない話で。

「それについてはエマとも話したんだけど」

ノーマンの発言に俺は次にくる言葉を察する。
あぁ、ついに来てしまう...

「本当のことは言わない」

俺はただただ俯いていることしかできなかった。

「お前っ、またそうやって隠......」

「危険にさらしたくない。
ママが動かないのは私達が変化を表に出さないから。“ボロを出したら即出荷”もあるかもしれないし。

脱獄は成功させるけど...」

「万が一にも失敗しても、真実を知らなければあの二人はまだ生きられるかもしれない」

確かにその考えはドンとギルダを“守るため”、理にかなっているのかもしれない。

でもそれじゃあ...二人の気持ちは？

「嘘つきだって思われてもいい。騙されたって後で恨まれても構わない。鬼以前にママに殺されたら元も子もない。

真実を話すのは今じゃない」

俺は何も言わなかった...いや、言えなかった。
本来の筋書きでも、既に嘘をつくのが決定しているのに俺が反対意見を言うのが怖かったんだ。

変に割り込んで話を変えるのも嫌だし、と無理矢理自分を納得させる。

「Aもこれでいいよね？」

俯いたままの俺を見てかエマがそう聞いてくる。

ほら、今が本心を言うチャンス何じゃないか？と心のどこかで考えたが、それを俺の臆病さが塞き止める。

「...皆がいいならいいよ」

結局そんな風に調弄すことしかできなかった。