33.弱点？ ページ34
エマside
シスターから逃げ続けた末、岩陰に隠れる。
「2人抱えて走り続けて...疲れたでしょうエマ。休まなきゃ動けないわよね。こんな追われ方したこともないでしょうし」
嘘...！シスター汗一つかいてない...
どうする、体力的にも余裕のあるシスターと既に限界な私。2人抱えて終わるまで逃げられる自信なんて無い。
「知ってる？
ノーマンの弱点は“体力”。
昔体が弱かったんですってね。
レイの弱点は“諦めが少し早いところ”。
判断が早い分、切り捨ててしまうのも早いのね。
Aの弱点は“自己主張の乏しさ”。
あなた達3人に引け目を感じて自分の意見は隠しちゃうのね。例えそれが重大なことでも...
そしてエマ。あなたの弱点は“甘さ”。
追われているのに他の子抱えて逃げちゃうような“甘さ”...よね」
そんなことまで...！
「諦めて出てきなさァーい。悪いようにはしないわ。もし、あなたがあの日“収穫”を見たのなら...私はあなたの味方よ」
＿＿え？
収穫？
今そう言って──？
それに上から声が...
「見ぃつけた」
シスターのその笑顔はとても恐ろしく感じた。
結果として、鬼ごっこはノーマンとレイ、Aとエウゲンが逃げきって終わった。
私はシスターから逃げきれなかった...
試しに抱えて逃げてみたけどもっと工夫が必要。
本番はこんなもんじゃない。まして本物の鬼が相手なら...
“私はあなたの味方よ”
シスターのあの言葉どういう意味なんだろう。
ママの罠？それともシスター...
その日の夜、エマは部屋で一人考えていた。
考えもしなかった...あのAに弱点があるなんて。
もちろんAにだって苦手なことはある。
現にAは虫が得意じゃなかったりするし。
思い返せばなんというか、Aが自分の意見を率先して言っているのをあまり見たことがない。
脱獄の計画に関してもそうだ。話すとしてもレイやノーマンの考察に補足することや、私達を励ますことが多かった。
言葉の節々からも自分自身のことを軽くみてる様に感じる。
でもAから直接聞いたわけでもないしあくまで可能性の話で、
第一私の考えすぎかもしれない.....
鬼ごっこ訓練のことも、シスターのことも、Aのことも...。考えなきゃいけないことがいっぱいある。
...あ〜もうっ、頭がごちゃごちゃして考えらんない
いよ！
エマは思考を放棄して寝ることにした。
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作者名：ルノチキ | 作成日時：2021年5月9日 12時
