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29.ホラー ページ30

ベビーベッドはママの寝室に9台。

1〜2歳の最年少9人がママとともに寝起きしている。

そのママの部屋で毎晩、最年少の着替えや入浴の手伝いが許されるのはなぜか年長の女子のみ。


だから発信器の手がかりに関してはエマだけが頼りだ。









そして現在、俺、ノーマンとレイで横並びになって食器を洗っている。

「なじんでるね」

「ああ、なじんでる」

「ほんと何を企んでいるんだか」


なじんでる...というのは言わずもがなシスターのこと。
チラリとシスターのいる方を見遣れば、子供たちと楽しそうに話している。

彼女は来て早々なのにもう彼らの心を掴んでいた。


「発信器は勿論、“全員を連れ出す方法”も考えねぇとな」

「うん...」

「・・・」

レイの言葉にAは何も返せなかった。

この先の展開を知っているからか、レイが平然とした顔で“全員”と言ったからだろうか。


それはA本人にしかわからない。




「あの大人2人を出し抜くにしたって、単に目晦ましゃいいって問題じゃない」

「それね」

相手は大人、頭脳も体格も大きな差がある。
それが2人も。



「鬼は必ず近くにいる。
財である僕ら...まして“高級品”を放置して離れるわけがない。何よりマズイのは鬼への通報」

「それに脱獄初動で鬼達に追われることになったらひとたまりもない。」


「阻止する方法は一つ。ママとシスターを__」

レイが右手に握っているフォークを俺達に見せつけるように動かす。

それと同時に沈黙、そしてノーマンとレイの間にはシスターがいた。



...ホラーかよ。



「ノーマンとレイ、Aね」

「「「...はい」」」

「テスト満点なんですってね」

「「「...はい」」」

俺らは淡々と返事をする。
あー早く会話終われ〜、なんて考えているとシスターは俺に話を振ってきた。

「それにAは初回のテストからフルスコアなんだとか...」

「...まぁ」

「3人ともすごいわ!よろしくね、仲良くしましょう」

シスターはニコニコの笑顔を浮かべながら俺達に握手を求めてきた。


彼女は先ず近くにいるノーマン、レイと握手を交わした。

そして俺の方へと向くと、さっきよりもあからさまな程の笑顔で、しかも俺が差し出した右手を両手で握ってきたのだった。



シスターの俺を探るような目に嫌気がさす。
そんな注意深く見てもアンタのことを邪魔する気なんて無いんだけど。


何故かって?
だって俺が何もしなくてもシスターはどうせ...ね。

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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年5月9日 12時

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