23.罠 ページ24
ママに“お手伝い”を頼まれて今日で3日目だ。
頼まれた日の夜エマは焦ってたなぁ、なんてことを思い出す。
「まずいよ、疑われてるってことだよね!?
何かバレて...?」
「落ち着け、
「敵の立場?」
「どの子供にも反応はない。ならまず年長者であるオレたちを疑う、当然だろ?
ビビるこたねぇ」
「油断は禁物だし、これまで以上に用心はすべきだけど...大丈夫。何も掴まれていない。」
「むしろ焦って襤褸を出せば、それこそママの思うつぼってわけ」
「ああ、Aの言う通りだ」
こんな状況でも冷静な3人にエマは感心していた。
ここは下手に動かない方が得策。
俺はただお手伝いを全うするだけ。
このお手伝いこそが罠だったとしても...
「──にしてもうぜぇな。これで3日目。
食料庫の整理、予備リネンの点検、空き部屋の片付け。」
他3人がそれぞれの思考を巡らせる中、Aは原作について考えていた。
明日クローネと新しい妹が来て...
その後はどうなるんだったっけ。
ここ最近はノートを読んでいないから具体的に思い出せなくなってるな。
俺はこの先起こることがわかるようにノートを偶に読み返している。
記憶力も良い方では無いし、それが無かったらマンガの内容なんてもっと忘れているだろう。
ここでの生活も10年は過ぎている訳だし。
でも所々覚えてなかったりで空白の部分がある。
やっぱ完璧に思い出すのは無理だよなぁ。
そもそも前世の記憶自体、最近では薄れてきているし。
どうしたものかなぁ...
ふと気づけばエマたちの会話は結構進んでいるみたいだった。
「仕組みじゃなくても予想はできる。考えれば必ず策はあるはず」
「「「・・・」」」
「情報が足りなさすぎる...!」
「それな」
「こうなることがわかっていての余裕なのかな」
「?」
ノーマンは窓の外にいるママを見ていた。
「ママだよ、引っかからない?うまく言えないんだけど、回りくどいというか手ぬるいというか...」
「“標的を探す必死さに欠ける?”」
「そう!引っかかるんだ、思い過ごしなら良いんだけど…」
小さい頃、ママに4人がかりで挑んだチェス。
俺たちの何倍も賢いから、きっと子供たち考えていることなんて全部お見通しなんだろう。
そしてギルダとドンがバケツを振り回しながら戻ってきた。
「おーい、サボんなよ最年長〜」
「! ごめんごめん!」
俺たちは急いで掃除を再開した。
307人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年5月9日 12時