21.モブ ページ22
ここらで誰もが疑問に思っていることに答えよう。
＿＿そう俺は『モブに徹する』と決めたはず。
周りに溶け込んでできるだけ目立たず、薄すぎず濃すぎずで生きていこう。それなら、きっと原作に影響はでないはずだから。
その考えから俺はモブとして暮らしていこうとした...はずだったのだ。
はい、そんなこと言いましたがモブになる計画は見事に失敗しました。あの子らが逃がすわけないよね、うん。
いやいや聞いてよ。途中までちゃんとモブ出来てたんだからね？
だってアレはどう回避すれば良かったんだよ！？
──
────
「何かA、最近冷たくない？」
テストも終わって自由時間になったそんな時。
いつもならすぐに外へと遊びに行くはずのエマが俺に話しかけてきた。
「えっいきなりどうしたの？」
そんなことないけど、と言いつつも明らかに動揺してしまっていた。
「A最近一人称俺に変わったし、私たちなんかよそよそしい態度とってるよね？
前まではあんなに仲良しだったのに」
いきなりの核心を突いた発言に内心驚く。
「あっ、わかった！わかったよ！！」
エマは変に勘が鋭いけどまさか、エマにバレるなんて...
どうしよう何か、何でもいいから言い訳を...
「チュウニビョウってやつだ！！」
「......え？」
この前本で読んだから知ってる！とどこか自慢そうにしている。
どこで読んだんだよそんなの。
「Aが思春期かぁ。だからあんなに素っ気なかったんだよね！」
「いや、エマ？俺別にチュウニビョウとかじゃっ」
「恥ずかしがらなくていいんだよ。誰にでもそーゆー時期はあるって本にも書いてあったし」
一人でうんうんと頷き納得していた様子だった。
「っだから俺こじらせてな──」
「それじゃあ私鬼ごっこしてくるね」
俺の話も聞かず、彼女は解決した〜〜！とすごい勢いで走り去ってしまった。
兎に角、エマが勘違いしてくれていてよかった。
...いや、良くはないんだけど。
今回はエマ相手だったから何故か上手くいったけど、もしノーマンかレイの2人だったら絶対バレていたはずだ。
やっぱり危険なのかも、あの3人相手にこれ以上逃げられる気がしない。
このまま行くとあの2人は訝しんでくるだろうし...
その日は暫く考えた末、当時5歳だったAはモブになることを諦めたのだった。
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作者名：ルノチキ | 作成日時：2021年5月9日 12時
