19.泥船 ページ20
「オイコラ保護者ども!あのバカ何とかしろ、無茶苦茶だ!!」
「ねーホント、でもよかった元気で」
「エマ最近笑顔少なかったしね〜」
レイの焦っているような怒鳴っているような声とは対照に、ノーマンと俺の声はあまりにも呑気だった。
「じゃなくて止めろよ、死ぬぞお前ら3人とも。
…お前らはハナから分かってんだろ」
「エマが、泣いたんだ...最初は怖いから泣いているんだと思ってた。
でも違ったんだ僕は自分が死ぬのが怖かった...。
けどエマは家族が死ぬのが怖くて泣いてたんだ。
すごいよね、あの状況で何かを守ろうと考えられるんだ」
「でも正しくない!泥船だぞ...ぶっちゃけ4人だろ4人なら逃げられる」
「お前らは正しい、自分を恥じるな。情で判断を捻じ曲げるなノーマン!A!」
「違うよレイ。僕も泥船をつくりたいんだ」
「......は、なんでだよ。お前は違うだろ!?
もっと冷静でいつだって“正解”を...
なのにどうして...!」
「好きだから、好きだからエマには笑っていてほしいんだ」
“好き”そんな理由で自分の命を天秤にかけるノーマン。
傍から見れば狂った異常者か献身者だ。
「頭おかしいだろ...それでエマが死んでもいいのかよ!!」
「死なせない。
そのために僕は僕を利用するんだ。
幸い、僕はやろうと決めてできなかったことは一度もないんだよ〜。
泥も焼けば器になるでしょ。泥船が必ずしも沈むとは限らないよ」
「馬鹿げてる!
...なぁ、Aだってそう思うだろ!?」
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年5月9日 12時