11.お別れ ページ12
夕食も食べ終えて夜になった。
バタバタと音を立てて走るエマと、ノーマンの後を歩いて追いかける。
「コニー、準備できた?」
「どうかな...服」
「バッチリ♡ 似合ってるよ!」
「よかったぁ...ありがとう。
私、ハウスを出てもがんばる。
大丈夫...この子が、リトルバーニーがいるもん。
あのねリトルバーニーはね、世界に一つだけしかないんだよ。
ママが私だけのために作ってくれた──宝物なの。
私トロいし、みんなみたいにユウシュウじゃなかったけど...大人になったらママみたいな“お母さん”になりたいんだ。
それでね、絶対子供を捨てたりしないの!」
コニー...
そして訪れる別れの時間。
別れたくない、と泣き出すコニーを慰める。
時間がきて、コニーはママと門までの道を歩いている。
待ち受ける死をどうにかしてやりたいと思っても自分にそんな力は無いし、足掻いたところで失敗するだけだ。
前世でもそうだったんだから。
いつも感じるのは、自分の無力さと不甲斐なさだけ。
レイもこんな気持ちなんだろうか...。
「コニー!?忘れとるがな!!!!」
風呂も上がってレイと歩いていると、廊下にいるというのに聞こえてくるエマの大きな声。
2人で目を見合わせ、食堂の扉を開ける。
「__ってコニーもう行っちゃったよ」
「__でもないかも」
レイの後に続いて俺も部屋に足を踏み入れる。
当然ながら、エマの手にはリトルバーニーが抱えられている。
「さっき風呂場の窓から遠く門に灯りがついているのが見えた。
見送りについていったママも戻ってきていないし、まだコニーは出発してないんだと思う。」
「届けてやろう
本当はママに頼んで後から送ってもらうのが筋なんだろうけど
“コニーの気持ちを考えたら早い方がいい”──だろ?」
ホウキを持って現れたノーマンはエマにそう言って笑いかけた。
「うん!!」
「Aは?」
「俺は子供たちの様子見なきゃいけないから」
「わかった!」
「掃除は俺らがやっとくからで早く届けてやれよ」
「ありがとう」
そして、ノーマンお得意の鍵開け術で2人は門へと駆け出した。
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作者名:ルノチキ | 作成日時:2021年5月9日 12時