ん。３【音駒】

ん〜…… ページ38

「「Aさ〜ん！！！」」


『ん〜……』



後輩たちがずずっと近寄り、Aは少し迷惑そうにする。

埃被った部室で掃除していたんだから、たまったもんじゃない。



「こら、お前たち！臭かったらどうするんだ！！」


「「！！」」



うん、悪いことしたら大体これで収まりそうだな。しばらくは。

ニコニコと、海は安心したような顔で話しかける。



「とにかく、何ともなくてよかったよ」


『ん』


「片付けか？もう終わったよ。部室は綺麗にしたし、他の皆の荷物も綺麗だ」


『ん』



満足そうにAは頷く。

あとから聞いた話だが、研磨が「これからもしかしたらAさんは定期的にここに覗きに来て、

綺麗かどうか確かめるかもしれない」と言ったらいそいそと片付けたという。

だから、いかがわしい物だったり、怪しいものは残さなくなったみたいだ。



「えっ、じゃあ俺の荷物は？」


「すまん、勝手にいろいろいじった」


「……あそ」



うん、まぁいいや。

ガチで泣いている山本を引っ張って、俺たちはそろそろ戻ることにした。



「そうだ、A。今回のお詫びとして、なにかしてほしいことはあるか？」


「そうですよ。臭いや片付けは何とかしますんで、それ以外何でも言ってください！」


「どれいになって！でも何でもいいスから！！」



山本を引っ叩いて静かにさせる。

Aはしばらく考えてから口に出した。



『……宿題、合宿前に終わらせて』


「「……はい」」



これに関しては、全員が頷くしかなかった。

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