いらない。６【牛島若利】

250 ページ12

次の日の2回戦も無事に突破する。

いつも通りの感じが、ちょうどいい。

白鳥沢らしい戦いができている。

……だけど、3回戦目はあの鴎台。

2年連続出場をしているところを見て、やはり強いところなのだと分かる。

それに勝てば、次は梟谷……いや、分からないけど。



「すまん、少し手洗いに行ってくる」


「うん、分かった」



若利君、大丈夫かな……トイレ分かるかな。

さすがに案内板あるからな……。



「白鳥沢のマーネちゃん！」


「！は、はい！」



目の前で話しかけられたのに、全然気づかなかった……！

話しかけたのは、梟谷の、木兎君。



「えーっと……ごめんっ、名前なんだっけ！」


「白樺Aだよ」


「そーそー白樺ちゃん！」



木兎君はあっけらかんという感じで笑う。

そして周りをきょろきょろと確認した。

そういえば、赤葦君はどこなんだろうか。



「あのさ、白樺ちゃん！俺負けねえから！ウシワカにも！次の相手にも！」


「うん」


「だから負けるなよ！」


「うん」



にっこりと木兎君は笑って満足したのか、「じゃあなー！」と去っていった。



「……木兎になにかされたのか」


「若利君」



いつの間にか帰ってきてたんだ。ちょっとイラッてしているのが分かる。



「特にないよ。頑張ろうねって会話しただけ」


「そうか」


「戻ろうか、皆待ってる」


「あぁ」



負けたら最後、一度でも、負けてしまえば。

絶対に負けない。

私たちは強いのだから。

251→←249

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す