若の微笑み。 ページ37
ここで最後のタイムアウトを白鳥沢がとる。
『もー！足が辛いわね！』
「交代するか？」
『バカね！これ以上試合を長引かせないって！』
にしし、とアタシにドリンクを渡す英太ちゃん。
若はエナジードリンクの固形を思い切り飲み干してる……頰が膨らんで可愛いわ。
飲み終わった時、賢ちゃんが若に近づいた。
「牛島さん。どんな時でもトスを上げるというのは、牛島さんが使い物になるうちは、ということですよね」
「！？おい、なんか知らねえけどその言い方はなんだよ！！」
アタシは静かに英太ちゃんを止める。
なぁんだ。なんかコソコソ話しているなって思えばそういうこと。
若が言い出しっぺなのね。そういう風な解釈に間違っていないと思うけど。
そう聞くと、若はふ、と優しく微笑み、一言だけ口にした。
「そうだ」
「「！！」」
あの、若が笑った……！
「行くぞ」
若は、いつでも真っ直ぐで、そこにアタシは惚れた。
恋愛感情なのかもしれない。もしかしたら違って、ただの憧れなのかもしれない。
勉強、雑学、友達の作り方……あらゆるものには勝てるけど、バレーは絶対の勝てない。
中学の時のアタシは、何を思って白鳥沢に行きたいと思ったのかしら。
鍛治君との面接の時、アタシは素直に話した。
『アタシはエースに惚れました。エースになりたいんじゃない。もちろん目立ちたい。
でも、エースを支えられるような存在になりたいの』
アタシは、できているかしら。
何本も何本も打って、それ以上に飛んでいるはずなのに。
空中で、止まっているように見える。
あぁ、なんて綺麗なフォーム。
こんな近くで見られるアタシは幸せ者なんだと思う。
「なんだよウシワカバケモノかよ……！」
観客席から、そんな声が聞こえた。
たしかに若は化け物か怪物か。
でも、アタシたちにとって一番しっくりくる呼び名は、超バレー馬鹿。
これだけは、絶対に勝てない。
「っし！」
歓声が湧き上がり、若は左手をぐっと握りしめ、ガッツポーズをした。
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Nagi(プロフ) - 大好きですっ！！！ (2021年10月24日 1時) (
レス) @page49 id: 974074d1dc (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣 - すごく面白かったです！これからも頑張ってください！ (2020年3月31日 22時) (レス) id: 44c29d146e (このIDを非表示/違反報告)
いすだ(プロフ) - クロネコさん» コメントありがとうございます！ハマってくれてうれしいです！！ (2019年10月17日 23時) (レス) id: f860ac395f (このIDを非表示/違反報告)
いすだ(プロフ) - 短気っきーさん» ありがとうございます！オネェ男子最高です……作者様の紹介ありがとうございます。今度見てみますね！ (2019年10月17日 23時) (レス) id: f860ac395f (このIDを非表示/違反報告)
クロネコ - とても面白かったです！！ハマりました！！ (2019年10月17日 20時) (レス) id: ba8b81f396 (このIDを非表示/違反報告)
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