白鳥のオネエ。final【白鳥沢】

しんどいのよね〜。 ページ20

これでセットポイントになった。

先に一点取りたいけど、難しいのよね。

ブロックアウトを狙われ、ついにはデュースに。

翔ちゃんが入ってきて、ワンタッチで防がれる。よく飛ぶこと！


　
「こいやあああ！」


「よこせええええ！」



どっちにあげるの？

と考えていると、飛雄はボールを相手のコートに落としてきた。

ここでツーで返してくるなんて、負けず嫌いね……！

烏野のセットポイント。



『に、させるわけないでしょ！！』



アタシのスパイクが決まる。

あー、デュースほどしんどいものはないわね。

ここでも強気のサーブでいく。

まだ、まだ武器は取っておくべき。



「工、押し込め！」



惜しくもボールは白鳥沢コートに落ちようとする。

そこに、覚ちゃんの足が入ってきた。



『きゃああ！すごいわ覚ちゃん！』



ここであげられるのはでかいけど、相手のチャンスボールになってしまった。

翔ちゃんの囮、からの坊主君のスパイクで取られる。



「ほんと一級品の囮だね〜、クソが」


『はーい、口が悪いわよ〜』



純粋な一年生(工ちゃん)に、あまり悪い言葉を教えないでほしいわ。

ピーっとホイッスルが鳴る。

鍛治君が、ここで初めてタイムアウトをとった。



「白鳥沢！白鳥沢！」



ガンガンと応援が聞こえる中、明コーチはアドバイスをする。



「確かに今までに居なかった相手だ。でもいちいち乱される必要はない。

俺たちは俺たちのやり方で点を獲ればいいだけのこと。

とにかくブレイクだ！」


「「はい！」」



メンバーチェンジで、覚ちゃんの代わりに英太ちゃんが入る。



「英太くん、一発頼むよ」


「おう！」



ついにきた。彼と、同じコートに立つことが。

何回しかない試合。その中で彼が立てるのはほんの数回。

それを、全力で。

目が合い、コクリと頷いた。

こちらの変人コンビ。→←男が廃る。

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