５８突っ込み、捨てる ページ16
ベットの中で、Aは考える。
及川と少し距離を取る。
隣からは、すやすやとリズムよく寝息が聞こえた。
全然寝れない。悶々と、及川の言葉がずっと脳内で再生される。
──「俺、Aちゃんのことが好きだ」
あれだけ、約束したのに平気であの男は破りやがった。
唯一、味方だと思っていた人物に裏切られるなんて、思ってもいなかった。
「……誰が、あんな男……」
好きになるものですか。
青葉城西学園では、常に噂が飛び交う。
Aが、男二人をたぶらかして「いた」という噂もまた然り。
そしてまた別の噂も。
屋上で数人の男が、野球をして遊んでいる。
本来はいけないことだが、いわゆる不良というものだ。
一人、端の方で男がスマホを弄っている。
女の子に、rimeを返していた。
その男に、野球をしていたお調子者が近づいた。
「なーなー、5組に転校生来たじゃん。榊原っていう女」
「あー、二股してた女？」
「それはお前だろ？お前は四股くらいしているけどさー」
スマホのフリックで女の子に、「また遊ぼうね」と返信しながら男は適当に答える。
「榊原ってさ、あの榊原製薬とかんけーあんのかな？」
「……あのＣＭで有名なやつか」
ＣＭと言うのは、有名な女優が頭痛で苦しんでいるところで、薬を飲んで1分で効きますというＣＭだ。
「そーそー、榊原ってさ、滅多にない苗字じゃん？だからそのご令嬢だったりして！」
「……まさかな」
男はスマホの電源を切り、にやりと笑う。
飲みかけだった缶コーヒーを一気に飲み、フェンスの外に捨てる。
「なー、面白いことを考えたんだけどよー、京谷どうだ？」
同じく野球に参加しないで、日陰の方でハミチキを食っている京谷。
最後の一口を飲み込んで、ごみをポケットの中に入れた。
「パス」
「そーかい」
「おっと？悪いことを考えてんのか？芦屋」
「まぁな」
笹川という男。
見た目は真面目そうではあるが、とんでもない女たらし。
面白いことにはとことん突っ込み、つまらなくなれば捨てる。
そんな奴だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 390人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いすだ(プロフ) - 本郷ゆいさん» はじめまして！誤字の指摘ありがとうございます。訂正いたしました！更新頑張りますね！ (2020年2月21日 10時) (
レス) id: 3712830079 (このIDを非表示/違反報告)
本郷ゆい(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております。あの、初コメで言うのもなんですが、最新話の交換が好感になってると思います......!更新頑張ってください、応援しています...!! (2020年2月19日 1時) (レス) id: eb8f6585b4 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 男達よわぁでも、まだこれだけじゃ済まなさそうまだ、何かあるねぇ夢主意外と強い (2020年1月18日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
いすだ(プロフ) - 絵理奈さん» 今のところ何も考えていないです（）恐らく出すと思います！ (2020年1月2日 13時) (レス) id: 3712830079 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 悪女何人でも出しますか？ (2020年1月2日 11時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
