ん。【音駒】

んーんっ ページ26

研磨side



朝、６時。

宮城の朝はいつも寒くって、一瞬で目が覚めそうな寒さだ。
　
どっちかっていうと、まだ寝ていたい寒さだと俺は思うけど……。

スマホの画面は、その時刻を示していて、俺はまだ寝てもいいかなともぞもぞと布団にもぐり始めた。

皆も、まだ寝てるし。



『……ん』



どこからか、Aさんの声が聞こえた。

気のせいか……と思いまた眠ろうとする。

しかし、



［カンカンカンカンカン！！！！］


「うわあ！？ 何事だ！？」



物凄い音がして起きると、そこにはAさんがフライパンとおたまをもって立っていた。



『ん！』


「いや、そんなことしなくっても起きるっすよ……」


『んーんっ』


「え？ 今日は待ちに待った試合だからって……？」


『ん゛』


「もう分かったって……」


「ほら研磨ー、Aがわざわざ起こしに来たぞー」

　

なんでこんな朝早く……もちろん、虎とか他の人たちももちろんこの試合を楽しみに待っていたと思うけど、Aさんが一番楽しみにしていたのかな。

……俺もだけど。



「……もしかしてあいつ昨日寝ていなかったのって楽しみすぎて……？」



クロの寝ぼけた声が聞こえたけど、本当にそうみたいだ。

いつも練習中は眠そうにしているのに、こういう時はとても早く起きる。



『ん〜！』


［カンカン！］


「だー！分かったからそれやめろ！！」

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