【白鳥沢】『うち』に帰ろう。【シェアハウス】

８人乗りの車に９人。 ページ34

川西side

　
　
俺の携帯に群がる先輩たちはちょっと面白い。

そして、スピーカーからはいつも通りの日暮さんの声がする。



『おー！お前ら無事かー！』


「日暮さん、全員います！」


『その声は五色だな！あー、えっと、帰れそうにもなさそうな雨の音だな、こっちまで聞こえる』


「一応、傘が全員分ないので弱くなったら帰ろうかと思ったんですが」


『無理そうだ、こっちでも雨と雷がすごいんだ。あと５分くらい待てるか？今車で向かってる！』


「「え、」」



この人は神なのか？

いや、でも車乗りながら携帯っていけないんじゃ……。



『あ、見えた！おーい！』



５分じゃなくって、もうすでに白鳥沢の正門前に大きな白い車がライトを光らせていた。

車の中で手を振っているのは日暮さんだ。



『待ってろ、そっちに車をつけるから』


「ありがとうございます」


「「ありがとうございます！！」」


『あー、もう切るな。電話なしでも聞こえる距離だから』



ぶつっと無理やり切った音がして、通話は終わった。

そのあと、物凄いカーブをしてきて車はいい感じに屋根のある位置に止まった。



「……よお、お疲れさん」


「Aさん、神！まじでありがとー！！」


「タイミングよすぎだろ！！」


「お前ら、急いで帰らないと飯がどんどん遅れるぞ！」


「「はい！」」



８人乗りの車に乗った俺達は、９人。

濡れていなかったからよかったけど、やっぱり人数オーバーみたいで狭かった。



「五色、お前降りろ」


「え！なんでですか！」


「可哀想だろー！」


「お前ら静かにしろ！」


「あー、いつも以上に騒がしい車内だこと」



車の中は外よりも暑かった。

とげのある言葉。→←腹の虫と携帯が鳴る。

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