いらない。３【牛島若利】

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新年になって。


　
「「あけまして、おめでとうございます！！」」



去年と同じ感じで、妹は変わらずお年玉を求める。



「あらあら、Aちゃんお久しぶり。」


「おばさん、お久しぶりです。」



去年、自分の夫について幸せそうに語っていたおばさんだ。

おばさんは私を見るなり、目を見開く。



「…Aちゃん、彼氏できた？」


「へ！？」


「お、ついにAちゃんにも春がきたか。」


「なに！？お父さんそんなこと聞いていないぞ！」



わんやわんやしている皆に、私は顔を赤くする。



「あ、いや、えっと…！」


「青春ねえ。恋をすると、人って随分と変わる者よ。」



ニコニコして、おばさんは言う。



「いい経験になるわ。頑張って頂戴ね。」



そう言って、手にお年玉を握られた。

まいったな、そんな年じゃないけど。



「ありがとう…ございます。」



私も、少しは変われたのかな。






　





　









「あ、あけましておめでとう。皆。」


「「……。」」


「？」



やっぱりこの格好可笑しかったかな…。

新年を迎えて、2年生皆で行く初詣。

友達と行くと言ったら、「着て行きなさい！！」と着物を着せられた。

ちょっと恥ずかしいけど、そういう格好の人は他にもいるから安心する。

歩きにくいけど…。



「へ、へんかな。」


「全然変じゃない！ね、若利君！」



覚君はパッと顔を明るくして言う。

他の皆もうんうんとうなずく。



「…綺麗だ。」


「そ、そんな真正面から言わないで。」



新年を迎えても、若利君は相変わらずだ。

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