19 ページ19
数日経って。
秋梨はいつも通り柄の悪い奴らと絡み、牛島はバレー部の人たちと絡んでいる。
「秋梨、今フリーってマジ？」
「あ〜」
聞いてきた相手に適当に答える秋梨。スマホをすいすいと、適当にいじる。
「白鳥沢にはもういい女はいないかなって」
「じゃあ次は男に手を出すか？」
「……あほか」
「だよなー」と冗談まじりに笑う友人を流し目で見て、「うんこしてくるわ」と秋梨は立ち上がった。
・
・
「若利く〜ん」
教室に戻ろうとしている牛島に声をかけたのは、天童だった。
「天童か」
「今日部活お休みじゃん。暇？」
部活が休みなバレー部は、それぞれ自由な時間を過ごそうとしていた。
「今日は――」
牛島が答えようとした時だった。
秋梨がスマホをいじりながらスッと牛島の手を撫でる。
それは、周りにはだれにも気づかれない。
「すまない。今日は用事があるんだ」
「え〜っ！仕方ないかっ。……そういえばさ、若利君恋人いるってホント？」
「……」
素直な牛島は、返答に困り黙ってしまった。天童はにんまりと笑う。
「黙っちゃうってことは肯定ってことネ！いいよ。俺口固いし誰にも言わないからっ！」
と背中をバンバン叩く天童は、バレー部内で一番口が軽い男認定されている。
「それで、相手は誰なの？」
「相手は言ってほしくないそうだから、俺の口からは言えないのだが――」
何気なく聞いた天童は、牛島がそっと自分から目をそらしたことに気づく。
もしかして、その先にいるのか？と振り返るが、皆目見当もつかない。
もうすでに、秋梨は遠くのほうに歩いているからだ。
「……『
遠くのほうで聞いていた秋梨は、くくっと小さく笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 193人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いすだ
| 作者ホームページ：女たらしのすとーりー
作成日時：2023年7月11日 20時
